福岡県内の2政令市、福岡市と北九州市の市長が12年ぶりに話し合った。2月5日(日)の北九州市長選で、自民、公明、立憲民主、国民民主推薦、社民支持の多党相乗り候補、元国土交通省官僚、津森洋介氏が、自民党北九州市議の一部が支持した元厚労省官僚、武内和久氏に敗れた。武内新北九州市長は翌日、福岡市を訪れ高島宗一郎福岡市長と会うスピードぶり。
その後、2月28日(火)には、高島福岡市長が北九州市を訪問、昼食を共にした後に会談して「福北(福岡市と北九州市)連携」を強調した。
両市長が12年ぶりに会ったということは、4期務めた北九州市長・北橋健治氏が、2期目から、福岡市長とは全く顔を合わせず会話もない異常事態≠ェなくなったということだ。北橋氏は、旧民主党から衆議院選に出馬して当選、6期務めた後、無所属で北九州市長選に立候補、当選した。北九州市長になってからは一貫して武田良太前総務相が支援していた。
武田氏は、自民党副総裁の麻生太郎氏とは選挙区は近いが犬猿の仲=B今回は、自民党福岡県本部が、北九州市長選で津森氏を「自民党公認候補」として党中央に公認依頼を出そうとした。自民党県本部の大半は津森氏の公認申請に署名したが、県連名誉顧問、麻生氏だけが署名を拒否したため津森氏は「自民党推薦」に格下げになった。
一方、高島福岡市長は、「麻生氏丸抱え」と言われるほど麻生氏に全面支援を受けている。武内新北九州市長と高島福岡市長は、いわば「麻生傘下」と言っていいほどで、それだから12年ぶりの会談が、和気あいあいに行われ、両陣営は「これでやっと福北連携が正常化された」と述べた。
ところで現在、福岡市中心部の天神地区では、「天神再開発」が行われており、歴史ある多くのビルが取り壊され、新しい高層ビルが建設中だ。一番目立つ「福岡ビルなどの改築現場」には、当初、「麻生セメント」の名前入りコンクリートミキサーが目立っていたが、しばらくして、そのミキサーは消えた。
福岡ビルや周辺のビルの中には、これまで、地元の商店や、会社員らが昼食時に行く食堂や喫茶店が多かったが、それがすべて移転したり閉店したりした。新しいビルが出来たら、どこもテナント料が大幅に上がり、移転した店が戻ってこられるかどうか分からないという。資金に余力のある、東京から進出する大手の会社や外資系の支店が大幅に増えるのは必至とみられる。テナント料の大幅アップで空室が埋まらないと予想する人もいる。
「将来、天神地区は会社員以外には買い物客などの市民らは来なくなるのではないか」と、九州一の賑わい地区が空洞化される不安が募っている。
こうした「不安」を福岡市長は解消できるのか。バックの麻生氏がどう考えているのか。「福北連携」が復活した裏で、こうした問題がある。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年3月25日号
2023年04月07日
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