命を守る1週間
■風薫る5月、青葉が芽吹き、鳥は鳴き、生きとし生けるもの全ての命が輝く。この1週間、命を大切にする取り組みや行事が目白押しだ。
8日は「世界赤十字デー」─今から164年前、イタリアが統一を目指しオーストリアと交戦していた激戦地で、スイス人の実業家アンリー・デュナンが両国の負傷者を救護する活動に従事していた。
その経験を活かし4年後に赤十字国際委員会の前身「五人委員会」を立ち上げ、国際赤十字組織の原点を作った。彼の誕生日を記念して制定された。
■同日は「第2次世界大戦で命を失った人たちのための追悼と和解のためのとき」と名づけ、9日まで取り組む国際デーでもある。ナチス・ドイツが連合国軍に無条件降伏した文書の調印・批准にちなみ、2004年に制定されている。
だがロシアのプーチン大統領は、9日のロシア「対独戦勝記念日」を、本来の「追悼と和解のためのとき」という精神を踏みにじり、「ウクライナをネオナチとみなし軍事進攻を正当化」する日にすり替え、いっそう国民を煽ろうとしている。
アルガンノキデーとは
■10日は国際アルガンノキデー。あまり聞いたことのない国際デーだが、アフリカの北西端に位置するモロッコ王国に固有の樹木・アルガンノキを大切にする日。人類の無形文化遺産および持続可能な開発の源として、2021年2月に制定された。
アルガンノキは、樹高10メートルほどの常緑樹で樹齢は150年を超える。その木にヤギが登っている写真を見た方もあるだろう。乾燥に強く種子から取れる油が貴重なアルガンオイルとして古くから利用されている。近年は化粧品にも使われ注目されている。
■12日は国際看護師の日─近代看護の基礎を築いたイギリスの看護師フローレンス・ナイチンゲール(1820〜1910)の功績を称え、彼女の誕生日に由来して1965年から始まった国際デー。日本でも1990年に「看護の日」として制定されている。
■14日は母の日。5月の第2日曜日に充てられている。由来は115年ほど前の米国でアンナ・ジャービスという女性が亡き母を追悼するため、教会で白いカーネーションを配ったのが始まりといわれる。
その後、米国全土に広がり、1914年に正式に制定された。日本でも翌年の1915(大正4)年には教会で母の日のイベントが行われ定着した。
国会では軍拡法案のゴリ押し
■すでに10日からは愛鳥週間が始まり、13日は愛犬の日と続く。こうした生きとし生けるもの全ての命を大切にする重要な5月。ところが岸田政権は命を危うくする法案のゴリ押しに懸命だ。
4月末の国会では原発推進法案、保険証廃止のマイナンバー法案、入国管理法案など人の命にかかわる悪法を次ぎ次ぎと採決し、参院に回して成立を図る。
■連休が明けるや、またまた岸田政権は維新や国民民主の協力・応援を頼みに、5年間で43兆円の軍拡財源法案、防衛力強化資金を創設する軍需産業支援法案など、矢継ぎ早の成立に向け、公聴会も開かず突っ走る。こんな法案に命を懸けるとは愚の骨頂。政治の堕落は極まれり。 (2023/5/7)
※本コラムは2005年4月15日以来、毎週日曜日に掲載してきましたが、今回をもって終了します。
2023年05月07日
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