世界の最強の公用語として揺るぎない地位を保っていた英語と「中国」の台頭により覇権言語としての中国語の将来性を見据え、東アジア情勢に精通したジャーナリストで、国際結婚し子息の英語教育に熱心な父親でもある著者が、綿密な取材と実体験を踏まえ、外国語を学ぶ必要性を説いた書。
欧米各国の政治家、大手企業家、セレブやその子息の中国語ブームの加熱ぶりは顕著だ。
トランプ元米大統領の中国公式訪問で、英才教育を受けた孫娘が、流暢に中国語の歌を熱唱する動画を習近平主席夫妻に披露したことは記憶に新しい。一方で、中国の「ソフトパワー」の普及機関として全米に次々に開設された「孔子学院」が、悪化する米中関係の煽りで、「シャープパワー」と敵視され、閉鎖に追いこまれる逆風も吹いた。中国の投資が旺盛なアフリカでは、中国語が50年以内に公用語の一つになる可能性も示唆している。
かたや、アメリカの人口を超える4億人が、英語を学ぶ中国の章では、子供向けオンライン英会話教室が急成長、国際バカロレアを提供する学校も増加し、英語の実力で人生の一発逆転が可能になる「懸命さ」の差が日中間の英語学習熱にはあると指摘。
翻って、ガラパゴス化している日本語の地位は、英語、中国語、韓流ブームに沸く韓国語に比べ、低下したと警鐘を鳴らす。
米中の対立は間違いなく長期化するとの予測に基づき、王道の英語よりもライバルの少ない中国語が選択肢となりうると説いている。英語と中国語の二兎を追うことが、外国語学習のスタンダードになるかもしれない。
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