2023年05月29日

【メディアウオッチ】深まる新聞の危機 購読料値上げ、東海で夕刊廃止の朝日 読売は値上げせず生き残り狙う=編集部

 朝日新聞は4月5日、朝夕刊セットの月ぎめ購読料を5月1日から500円値上げし、現在の4400円(税込)から4900円に。朝刊のみ統合版の地域は、3500円から4000円とすると発表した。朝刊1部売りも、180円と、現在の160円から20円アップ、夕刊は60円から70円になる。他紙に先駆け、朝刊150円を160円、夕刊を50円から60円にしてからさほど時間をおかない再度の値上げで、いずれも10%を超える大幅値上げだ。

 月ぎめ本体価格のアップは1993年12月以来。朝日は、値上げの最大理由として新聞用紙の高騰をあげるが、新聞各社全体では21年7月に消費税転嫁による値上げもあった。在京の同業他社、東京、毎日、読売の3社を例にとり比較すると、1部売り価格は東京が120円、毎日、読売は150円。夕刊は3社とも50円。ここでも朝日の値上げの突出ぶりが際立つ。朝刊で30円から60円、夕刊で20円の1部売り価格差と月ぎめ購入料値上げが今後の朝日の部数にどういう影響を及ぼすか。各社ともするところだろう。
 朝日は今回、毎日新聞に続く東海地区での夕刊発行廃止も告知した。
 一方、読売新聞は「少なくとも1年間」値上げを見送ると3月25日発表。購読料をめぐる大手3紙の対応が分かれたが、各紙とも発行部数の減少は著しい。言論・報道機関としての位置を、どう維持していくかが問われている。
 
一般紙発行部数
3000万割れ
 新聞協会によると、2000年に5370万部を記録した新聞の総発行部数も、昨年10月には3084万6631部となり、一般紙では2869万4915部と、初めて3000万部を割り込んだ。
 2000年には1・13部だった世帯数当たり部数も0・53部と、新聞を取っていない世帯が半数になる状況だ。
 また、日本ABC協会によると、22年下期(7〜12月)の平均販売部数は、読売663万6073部、朝日397万4942部、毎日185万9147部、日経168万0610部、産経99万9883部。「コロナ」から3年で、部数の4分の1が減少した。

「経営」に悩む
ジャーナリズム
 「新聞の危機」がいわれて既に20数年。ネットの台頭で、米国では多くの地方紙が廃刊し、新聞がない州都も出て来たりする状況だ。
 日本でも「新聞経営」の立場からネットをどう位置づけるか。「紙媒体」をどうしていくか。経営から独立して報道と論評を兼ね備えた「ジャーナリズム」をどう堅持していくか。依然として大きな課題が待ち受ける。
 結局、「ジャーナリズムを率先して担う存在」(「新聞の挑戦」98年新聞協会)としての対応が求められているのだが、日本でそれを貫くことができるのかどうか。ジャーナリズム性を強めることこそ「生き残り策」の第一だろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年4月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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