2023年06月14日

【支部リポート】広島 核兵器へ一歩も サミット祭り≠ノさせない=井上俊逸

 広島支部は、原爆被爆地広島での開催(5月19〜21日)となった先進7カ国首脳会議(G7サミット)が、被爆者をはじめ多くの市民が願う核兵器廃絶の道へと向かうのではなく、逆に「核抑止力」を肯定、助長する場になるとの強い懸念を抱く支部内外の人たちと議論を重ね、浮かび上がった問題に対する意見の発信やヒロシマの声をG7首脳らに届けるための活動を展開してきた。
G7広島サミットが正式決定されて以降、支部では毎月の幹事会などを通じて、ロシアとウクライナの戦争が長期化し、核兵器の使用も現実の脅威になる中、広島選出の岸田文雄首相が議長となって開かれるG7サミットをどう見るか、「歓迎」が際立つ地元メディアの報道にも疑問の目を向けながら論議を続けた。

  結果、日本以外はすべてNATO加盟国というG7のサミットが対ロシアで結束力を強めるばかりか、力対力の論理、すなわち核抑止論の正当性を世界にアピールするための「貸座敷」にヒロシマが利用されてはならないという問題意識を共有。今年に入ってから支部としてできる具体的な取り組みに踏み出した。

  主には二つあり、第一は、広島サミットのG7首脳共同声明に核廃絶の方向へ一歩でも進む文言を盛り込むよう促すために、G7各国の政府関係者はもとより、世界から広島に集まってくる市民運動グループやメディア関係者らに対し、核被害(被爆)の実相をリアルに知るのに役立つ機会や資料、情報の提供。
 そこで思いついたのが地元紙、中国新聞の労働組合が被爆50周年の1995年に「もし被爆直後の惨状を伝える新聞が翌日発行されていたなら」と想定し、作成した「ヒロシマ新聞」と、60周年の2005年に新聞労連が作成した英語版の「ひろしま・ながさき平和新聞」。同労組と労連に協力を求めて無償提供を受け、「みんなの市民サミット2023」(4月16・17日)と「世界の核被害者は問う G7首脳へ」(5月13日)の二つの集会で参加者に配布した。

 第二が、同じように「広島サミットを単なる政治ショー、あえて言えばお祭り≠ノしてはならない」と考えるTBS報道特集特任キャスターの金平茂紀さんらが企画した「核廃絶を求めるG7サミット直前広島イベント」(5月17日)に支部として後援団体に名を連ね、この集いの準備・運営に参画。200人規模の参加実現に寄与したことだ。 
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年5月25日号
posted by JCJ at 03:00 | TrackBack(0) | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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