●23年5月の出版物販売金額667億円(前年比7.7%減)、書籍366億円(同10.0%減)、雑誌311億円(同4.9%減)。月刊誌252億円(同6.1%減)、週刊誌58億円(同0.7%増)。返品率は書籍40.8%、雑誌45.9%、月刊誌46.3%、週刊誌44.3%。いずれも40%を超える高返品率が続く。
●日販からトーハンへの帳合変更が激しさを増す。10月1日からトップカルチャー59店舗の帳合がトーハンへ変更される。日販は未来屋とトップカルチャー2社を合わせ、700億円以上の売上を失う。
この事態はトーハンによる日販の一部吸収合併と見なされてもおかしくない。なお未来屋の決算は最終損益9億2800万円の赤字、トップカルチャーの第2四半期の営業損益は1億6600万円の赤字。この赤字2社の取引がトーハンにどのような影響をもたらすか、注目される。
●22年度の日書連加盟書店は2665店(前年比138店減)。1986年のピーク時には1万2935店だから5分の1。東京は前年より13店減の264店。22年の公共図書館は全国で3305館。それををはるかに下回る。公共図書館は2006年以降3000館を超えている。
●「チャットGPT」などを開発した生成AI企業への訴訟が米国で相次ぐ。原告は著作権やプライバシーの侵害を訴えており、同様の訴訟が続く可能性が高い。オンライン上で大量のデータを収集する生成AIに対するルール作りが急務となっている。すでにEUでは6月、著作権への配慮を盛り込んだAI法修正案を採択している。米国や日本でも規制に向けた議論が進む。
とりわけ教育現場では深刻な事態が進んでいる。教員たちからは「生成AIでレポートを書かれたら、見分けがつかない」の声が挙がり、のちに盗作の疑いありとして訴訟でも起こされたら対応できないという。
●月刊誌「世界」(岩波書店)の公式ツイッターアカウントが、ツイッター社の判断で7/18付で凍結され、憶測が広がっている。ツイッター社からは「プラットフォームの悪用とスパム(迷惑行為)を禁止するルールに違反している」とのメールが届いただけ。
「世界」のアカウントが凍結されたのは初めてなので、当該編集部は「思い当たる節はない。ツイッター社のサイトを通じ異議申し立てをしている」という。
7日発売の8月号で「特集:安倍政治の決算」を組み、総点検かつ課題を論じている。19日昼時点で、「世界」8月号はアマゾンなどのネット書店で購入できない状況になっている。
●Instagram や Facebook で有名な Meta社が開発した独自のアプリ「Threads(スレッズ)」が、日本でも使えるようになった。このアプリはイーロン・マスク氏率いるTwitter社からユーザーを奪うことを目指して設計され、Twitter社との競争に参戦する。
マスク氏が買収して引き継いで以降、Twitter社は人員整理や利用システムの変更など、混乱から抜け出せない状態にある。しかも1日に閲覧できるツイート数の制限などに、不満を抱くTwitterユーザーを取り込もうと、多数の競合サービスが登場しているが、Twitterを凌駕する決定的なアプリはなかった。
しかし、Meta社が開発した「Threads」は、Twitter社に深刻な脅威を与えている。、Meta社は30億人のFacebookユーザーと23億人を超えるInstagramユーザーを擁し、「Threads」へ切り替える可能性は大きい。Instagramのアカウントがあれば、すぐ利用できる。ゼロから始める必要はない上に、同アプリは無料で30を超える言語で提供されるとあって、あっという間に登録者数が7000万人を超えた。
なお、Meta社のマーク・ザッカーバーグCEOは、ユーザーが10億人規模に達したら収益化を考えると表明。しばらくは広告のない状態で利用できる。広告まみれで閲覧数まで制限のTwitterとは好対照。
2023年07月23日
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