西嶋真司(右)さんと植村隆(左)さん
福岡支部が企画した、映画「標的」の上映会が6月24日(土)、福岡市内で開かれた。
一昨年のJCJ賞・映画「標的」(福岡支部推薦)は、その後、日本各地で上映され好評。「標的」は同年秋、韓国・釜山国際映画祭の招待作品となった後、同映画祭の「安鍾泌(アン・ジョンピル)自由言論賞」に選ばれたほか、昨年の福岡インディペンデント映画祭で「最優秀ドキュメンタリー映画賞」も獲得するなど高い評価を得ている。
監督の西嶋真司さんはJCJ福岡支部幹事でもあり、4月の支部幹事会で、支部が主導して上映会を実現することを決めた。そこで支部では、福岡市に本社がある映画配給会社「九州シネマ・アルチ」に働きかけた。同社代表と支部会員の数人が知己で、話がとんとん拍子で進んだ。
「標的」は福岡市内の会場で、午前、午後の2回、上映が実現した。上映会には西嶋監督と、東京から「主演」の植村隆さんも駆けつけ、2回上映の合間に、二人の対談もあった。
ところで、上映会は当初、福岡市が名義後援していたが、6月2日になって福岡市は名義後援を取り消すと九州シネマ・アルチに連絡してきた。福岡市は「『安倍政治』との闘いがはじまる」と書かれた「標的」上映会のチラシを見たという市民から「市として後援するのは不適切ではないか」との匿名電話が市にあったことを理由に「名義後援」の是非を再協議した結果、「内容が政治的な立場など特定の主義主張に立脚しており、行政の中立性を損なうおそれがある」と判断して取り消したという。
その後、この件が西日本、毎日の2紙で報じられ、福岡市への関係者の怒りを買った。その影響もあり、上映会には200人以上の観客が集まり盛況だった。
西嶋、植村両氏の対談でも、福岡市の名義後援取り消しに言及。「マスコミを抑え込もうとしている安倍政権以来の政権に忖度したと考えられる福岡市の姿勢は民主主義に反する。この映画の内容でもある、捏造記者と言われ名誉を傷つけられたとして起こした裁判に敗訴させた裁判所の姿勢も含めて批判を展開した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年7月25日号