安倍晋三元首相が選挙活動中に凶弾に倒れた事件から1年。安倍政治は何を残したのか。
ほとんどのニュース番組が、追悼を意識しながら、テレビ報道を委縮させた張本人に対して、今なお忖度した内容がほとんどだ。その中でも、9日のTBS「サンデーモーニング」では、番組冒頭と「風をよむ」で「安倍元総理 死去から1年」を特集した。まずは、旧統一教会と政治の問題にふれ、パネリストの寺島実郎氏が、この団体の本質である反日性を訴え「不思議なのは、安倍元首相のように愛国だとかナショナリズムを語る人たちが、反日を教義とする団体と手を組んでおり、日本人の財産が海外に毎年、数百億円送られている」と斬り込んだ。
寺島氏は「風をよむ」でも安倍元首相の外交と経済について「ロシアのクリミア併合という2014年が重要で、日本だけが先進国のなかでプーチンを黙認した。それがプーチンを増長させた。アベノミクスではデフレからの脱却を目指して金融をじゃぶじゃぶにしてデフレ脱却しようという政策を日銀まで動かした。その結果が円安で日本の通貨の国際価値が半分になってしまった。
弁護士の三輪記子氏は、「政権批判が個人に対する悪口みたいに、誹謗中傷のようにとらえられてきた10年。去年、民主主義の危機というのを銃撃事件で感じたが、実は民主主義の危機はもっと前から存在していた。最近の入管法改正にしても、いくら反対しても、声をあげても届かない。無力感を感じる。これを議論しても無駄じゃないかなと思わされてしまう閉塞感がある」と強権的とも言われた安倍政権の問題点を指摘した。
TBSの松原耕二氏は、「安倍さんは強大な権力を持ったことで異論を封じるような面があった。亡くなったあと別の意味でモノが言えなくなっている。安倍政治の功罪の罪の部分をきちんと見つめることなしに志を継ごうじゃないかというのは物凄く危うい」と、「罪」を強調した。
その「罪」を羅列すると、特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪を次々と制定。森友学園疑惑では、赤木俊夫氏が自殺。加計学園疑惑で「国家戦略特区」の制度を悪用し、570億円の国費を投入。「桜を見る会」で自身の選挙活動に国費を濫用。伊藤詩織さんがアベ友の山口敬之氏から性的暴行を受け、それを隠ぺい。メディアへの言論弾圧、格差社会を助長と彼の罪状は限りがない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年7月25日号
2023年08月08日
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