2023年08月22日

【憲法改正】改憲ありきで自民に接近 維新、国民「緊急事態条項」で=丸山重威

 「軍拡予算」「軍需産業支援」に焦点が当たる中、日本維新の会(馬場伸幸代表)や、国民民主党(玉木雄一郎代表)が、憲法審査会などで改憲姿勢をあらわにし、次期総選挙や参院選に臨もうとしている。メディアがあまり報道しない中、改憲への動きとして注目する必要がありそうだ。

「緊急事態」で改憲条文
 日本維新の会と国民民主党、衆院会派「有志の会」(代表・吉良州司氏)は3月30日、「緊急事態」で国会議員の任期を6カ月延長可能とする改憲条文案を共同で発表した。
 条文案は@武力攻撃A内乱やテロB自然災害C感染症の大規模まん延―などの「緊急事態」で、「広域な地域で70日以上、国政選挙の実施が困難」と内閣が判断すれば、衆参両院の3分の2以上の議決で、議員任期を6カ月延長できるとにする。
 三会派は国会閉会の6月19日にも、@緊急事態宣言は、国会の事前承認を経て内閣が宣言。宣言期間中の国会の閉会や衆院解散を禁止し国会の機能を維持するA平時の国会でも、衆参いずれかの総議員4分の1以上の要求があれば、内閣は20日以内に召集を決定する―などを決めた。

閉会時も改憲強調
 国民民主党の玉木雄一郎代表は6月27日の会見で、この「緊急事態条項創設」の改憲について「秋の臨時国会で成案を得て、来年の通常国会に発議できるスケジュールで進めるよう働き掛けたい」。3月の会見では、日本維新の会の馬場伸幸代表が「改憲発議ができるよう、エンジン役を担っていきたい」とし、岸田首相が来年9月までの自民党総裁任期中の改憲を公言したことをあげ、「国民投票まで時間がない。改憲発議に向けた仕事を自民党に期待する」と主張。国民の玉木雄一郎代表は「自民党は具体的な成案作りに協力してほしい」と語っている。
  この論議、一般にはいかにも唐突だが、憲法審査会は「議案がないから開会しないのはサボタージュ」という自民党の主張で、通常国会では衆院が16回、参院でも8回開会。岸田首相も「議論の深まり」と歓迎した。
 しかし、緊急事態問題は、衆院解散時の「緊急集会」が憲法に規定されている参院では、ほとんど議論されでいない。
  自民党などには「改憲の本丸は9条への自衛隊明記。議員の任期延長だけで国民投票などできない」という議論もある。

公明の「反対」表明
 維新と国民が「改憲」を煽る中、公明党の北側一雄副代表は4月20日の衆院憲法審査会で、自民党の「9条への自衛隊明記」に「反対」を表明し、注目された。
 自民党がたたき台で「必要な自衛の措置をとることを妨げず」との文言を盛り込んでいることについて「9条2項(戦力不保持)の例外規定と読まれる余地を残すことになり賛成できない」「自衛隊という組織を憲法上明記することによって、憲法上の国家機関とされ、防衛省の上位機関とみなされないか、検討が必要だ」とも述べた。
 自民党が改憲のテーマにしているのは「9条への自衛隊明記」のほか、「緊急事態条項」「参院選挙区の合区解消」「教育の充実」。「自衛隊」以外は法改正で対応が可能。自公の連立解消が見え隠れする中、維新、国民が「改憲」を使って「新野党勢力」として自民に接近しようとしている、とも読めそう。慎重な対応が必要だ。
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年7月25日号
 

posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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