2023年08月25日

【メディア時評】日本のメディア4団体が「生成AIに関する共同声明」を発表=萩山 拓

自由利用の弊害
 8月17日、雑誌協会、書籍出版協会、新聞協会、写真著作権協会が連名で声明を出し、生成AIがもたらす負の影響について触れて、 「著作権法が目的とする文化の発展を阻害する恐れがある」と警鐘を鳴らした。
 いまチャットGPTなどは、現存するインターネット上の大量の記事や画像データを使い、文章や画像をつくりだし、既存の生成AIの訓練だけでなく新たな生成AIの開発に注力している。それができるのは、現在の著作権法で謳う<「著作権者の利益を不当に害する場合」を除き、著作権者の許諾を得ずに利用できる>を活用しているからだといわれている。
 だが、「著作権者の利益を不当に害する場合」の解釈があいまいで、著作権者の利益が還元されないまま、大量のコンテンツが生成されている。

AI利用と著作権保護
 声明では、@海賊版などの違法コンテンツをAIが学習してしまう、A元の作品に類似した著作権侵害コンテンツが生成・拡散される、BAI利用者自身が意図せず権利侵害という違法行為を行う可能性がある、C学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる―などの懸念を挙げ、著作権保護策が改めて検討されるべきだと主張している。
 海外でも、生成AIにどう対応するか、メディアの動きが始まっている。米国ニューヨーク・タイムズ紙は8月3日、利用規約を改定し、自社の記事や写真をAIの訓練のために無断で利用することを禁止すると明記した。また、米国AP通信は7月、チャットGPTを運営するオープンAIと記事提供や技術活用に関する協定を結んでいる。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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