2023年09月16日

【支部リポート】関西 「危ぶまれる万博開催」 軟弱地盤で工事難航=井上善雄

                
5面 夢洲 7月18日撮影 .png

 7月末から8月初めにかけて、堰を切ったように大阪万博の開幕を危ぶむニュースや時論が各メディアから流れ出た。即ち、開幕まで2年を切ったこの時点で、参加する海外パビリンのうち、自前で建てる国からの建築申請が無いこと、間に合わないなら「博覧会協会」が代行発注し、組み立てのプレハブ型工事さえ検討していること、他のパビリオン工事でも入札不調が続いていること、工事代金保障のための新しい保険を創設すること、突貫工事に入った場合、従事する建設労働者の時間外労働規制を外す案も出たこと等々、何でもありの迷走ぶりが報じられた。「やっと問題が可視化された」(山田明名古屋市立大名誉教授=「新聞うずみ火」8月号)のである。

 大阪湾に浮かぶ会場の「夢洲」=写真=は塵芥や建設残土などで埋立られた人工島なので、地盤が緩いことは素人でもわかる。当初、会場の候補地は陸地に数か所あったが、最終的に当時の松井大阪府知事の推しで「夢洲」に決まったいきさつがある。
 この先建設工事が順調に進みだしたとしても今の軟弱地盤では難工事が予想され、資材の高騰もあり見込み以上に金がかかるのは明らかで、すでに当初予算から大きく増えている建設費の更なる膨張が必至となる。誰が負担するのか。
 そもそも大阪への万博誘致は「大阪人のプライドをくすぐりたい維新」が、安倍・菅政権の「維新のご機嫌取り」もあって実現した、(2018年)いわば維新マター≠ネので、開催への不安は「維新の威信」にかかわる。5月時点で工事の遅れを懸念した吉村大阪府知事は岸田総理に面会し、国を挙げての支援を要請した。つまり泣きついたということだろう。(5・29)
自民党の船田衆議院議員は8月8日、「勇気ある撤退という選択肢も」と中止に言及したが、この発言に東徹参院議員(維新)は「自民党にもこういう国会議員がいることに失望」と嚙みついた。

 7月末「読売」の世論調査では、大阪万博に「関心がない」が65%にも上っている。「規模の縮小も」(「中国」7・24社説)「延期も視野に」(「京都」7・15社説)の論もある。問題はまだ続く。会場北側に建設予定のカジノを巡る難問が控えている。
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年8月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 関西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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