2023年10月10日

【出版の現場】インボイス制度による価格・報酬の引き下げを許すな!=萩山 拓(ライター)

もうシワ寄せが
 10月1日に施行されたインボイス制度で、もうフリーランスら小規模事業者が影響を受けている。フリーランスの一部には、9月いっぱいで契約終了、10月から報酬を2%引き下げると、発注者から言われる事例が発生している。
 とりわけ雑誌などの出版分野で働くフリーランスには、「このイラスト1点4千円で、この取材記事1200字2千円で」といった、狭い人間関係による口約束での仕事が多い。税抜きか税込みかの区別もなく、中には振り込まれるまで金額が分からず、あいまいな受発注による仕事が横行している。その上にインボイス制度で、消費税分を収めるとなれば、踏んだり蹴ったりになるのは目に見えている。


買い手側に勧告
 こうしたフリーランスの実態を受けてか、政府はインボイス制度の運営を巡り、施行直前の9月29日、関係閣僚会議を開いた。インボイス登録申請件数は、9月15日時点で約403万件。売り上げが年間1000万円以下の免税事業者が、インボイス登録を申請したのは約111万者。免税事業者160万者の約7割にあたる。
 経産省は「中小企業・小規模事業者(売り手側)が、消費税負担によって生じる減収分を、発注事業者(買い手側)に取引価格に上乗せできるよう、環境整備と対策を粘り強く継続していきたい」という。
 さらに公正取引委員会は、これまでに寄せられた相談約3,000 件に対応し、価格転嫁の円滑化にそぐわない優越的地位の濫用につながる事案が35件に上り注意したという。
 公取では引き続き、違反行為の未然防止を図り、独占禁止法や下請法に違反する行為には厳正に対処していくとしている。

必要な価格転嫁
 政府として、弱い立場におかれるフリーランスや小規模事業者が、インボイス制度によって、発注業者から強要される「報酬・取引価格」の引き下げを防ぎ、価格転嫁をバックアップする姿勢を明示したのは前進だが、有効に実行されるか、それが肝心だ。
 フリーランス協会では、報酬適正化に向けた価格転嫁の重要性と、「買いたたき」など法令違反の取り締まりが必要だと言い続けている。人出不足の中、優秀なフリーランスと取引するには、適正な価格・報酬を支払わなければダメ。その企業責任を、事業者は自覚すべきである。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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