2023年10月29日

【おすすめ本】廣末 登『闇バイト 凶悪化する若者のリアル』―新手の犯罪を複眼的に分析・考察=中村 秀郷(西南学院大学准教授)

 本書は、自身も非行経験のある犯罪学者で、更生支援の担い手(保護司、更生保護施設職員など)という2つの顔を持つ著者が、闇バイトの実態とリスクについて当事者たちを取材してまとめたものである。闇バイトに巻き込まれていく大学生のフィクションから始まり、仕掛け人「半グレ」の横顔、実態と犯罪現場、リスクと真実、さらに闇バイトを生み出す社会構造等まで幅広い視点から複眼的に分析・考察している。

 本書はマスコミ報道ではイメージしにくい、闇バイトの勧誘方法、一度関わると逮捕されるまで抜けられない現場のリアルなやりとりを披露している。さらに特殊詐欺犯の5パターンを実際の事例を用いて紹介し、被害者とのやりとり、受け子出し子の勧誘方法、逮捕のリスク、指示役からの脅迫行為の内容など、現場の実態がイメージしやすい。本書を手に取った読者は闇バイトに関わった人のリアルな展開に大いに興味を持って一気に読破されるであろう。

 一方、本書は闇バイトに巻き込まれないための対策についても支援者及び当事者の証言を取り上げている。さらに銀行口座を開設できなくなるなど、闇バイトに関わることで生じうる社会生活上のリスク、社会復帰の困難性を指摘している。

 本書は、読者及び身近な人が闇バイトに巻き込まれることを防止する道標となることは間違いない。闇バイトに巻き込まれない、被害に遭わないための必読の書として、一般読者だけでなく、学校教育の関係者など全世代に一読いただきたいものである。(祥伝社新書930円)
                  
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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