2023年11月07日

【支部リポート】神奈川 マイナ保険証テーマに メリットも怪しい=保坂 義久

5面 支部リポート  勝亦さん 明  トリミング.JPG

 神奈川支部では10月7日には横浜市内でマイナ保険証をテーマの例会を開いた。講師は神奈川県保険医協会・事務局の勝亦琢磨さん=写真=。
 勝亦さんは最初に健康保険証の役割や、政府の急激な保険証廃止の動きを説明した。
「マイナ保険証」とはマイナンバーカードを健康保険証として利用すること。カードに入っているICチップによってオンラインで資格確認をする。

 マイナンバーカードは2016年に発行されたが、20年4月時点で16%に普及にとどまっていた。医療機関でのオンライン資格確認システムは21年10月に始まったが、導入率は22年5月時点で19%。そのため政府は、国民向けにマイナポイントの支給、医療機関にはシステム導入の初期費用の支給という「アメ」と、24年秋までに保険証廃止と医療機関のオンライン認証システム原則義務化の「ムチ」による政策を打ち出した。

 そして23年3月に「保険証廃止法案」を国会提出し、6月に成立させた。しかし5月中からマイナ保険証に他人の情報が紐づけられるなどのトラブルが続出。成立後もマイナ保険証の未登録が協会けんぽで77万件にのぼることなどが明らかになった。
 保険医協会、保団連が医療機関で行った調査では、マイナ保険証で確認すると無効や保険資格なしとされるケースや健康保険証に記載されている負担割合とデータ上で示される負担割合が違うケースなどが報告され、患者のカードリーダーの操作を手助けするなど、窓口での負担が増加している実態が明らかになった、

 これまで政府が言ってきたマイナ保険証のメリットも怪しい。マイナカードによって正確な資格情報がリアルタイムで確認できるわけではないし、暗証番号を入手すれば、なりすまし受診は可能だ。
勝亦さんは報道機関の論調も「保険証存続」に傾き、自治体からも「見直し」の声が上がった現状にふれた後、医療Ⅾ✕と呼ばれる医療分野における政府の狙いについて語った。そこではマイナカードを取得・利用させながらそれを義務化はせず、損害については利用者の自己責任とする。医療情報は健康や身体に関する機微にわたる個人情報であり、強引なデジタル化に「対抗する必要を強調した。 
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年10月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 関東・甲信越 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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