2023年11月09日

【映画の鏡】真のジャーナリズムを示す『燃えあがる女性記者たち』未来の可能性開く報道の原点=鈴木 賀津彦

燃えあがる女性記者たち sub03.jpg
            Black Ticket Films

 ジャニーズ問題などで日本のマスメディアの在り方が問われている今、メディアに関わる全ての人々にとって「必見」のドキュメンタリー映画だ。報道は「何のために」「誰のために」あるべきなのか、リアルに示してくれる。

 主人公はインド北部のウッタル・プラデーシュ州にある小さな新聞社「カバル・ラハリア」(ニュースの波という意味)の記者たち。
 同社は2002年にダリト(カースト最下層の「不可触民」と呼ばれてきた人々)の女性たちによって週刊の新聞として創刊。その後2016年にはSNSやYouTubeで発信をするデジタルメディアとして新しい挑戦を始める。社員全員が女性、彼女たちはスマートフォンを片手に貧困やカースト、ジェンダーの差別や偏見と闘いながら、地域の生活に密着した草の根の取材を続けている。
 スマホを武器に社会を変えられる。ダリトの女性たちが、底辺の声を伝えるのにテクノロジーとインターネットを使いこなしてデジタルメディアを拡充していく姿は、インドだけの話ではなく、私たち日本の課題として共感の輪を広げている。

 映画の公開に合わせて、広島では11月4日に「燃えあがる女性記者と本音トークin広島〜わたしたちが欲しいメデ私たちでたちでたしたちでつくる〜」と題して、前新聞労連委員長の吉永磨美さんや中国新聞の金崎由美さんら女性ジャーナリストのトークイベント(主催=ジェンダーを考える広島県有志×ハチドリ舎)も開催される。オンライン視聴もできるので遠方からの参加も可能だ。こんな形で議論の輪が広がりそうだ。
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年10月25日号 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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