JCJも加わって組織している「NHKとメディアの今を考える会」は10月7日、JCJ大賞を受賞したジャーナリスト鈴木エイト氏と、TBS「報道特集」の金平茂紀さんの対談「統一教会への解散命令請求を問う〜岸田政権は衆院解散へのカードとするのか〜」を開いた。
政府による宗教法人としての解散命令が予定されていると言われる中、報道がひところより「低調」になっている統一教会問題を改めて考えようというもので、東京・渋谷の勤労福祉会館をリアル会場にズームによるハイブリッド方式とした。
山上は読者だった
エイトさんは、安倍元首相を狙撃した山上徹也容疑者の取材を通じて明らかになったこと、法人解散命令が出たあとの教会がどうなるか、報道の問題点、課題などについて詳しく語った。
エイトさんによると、旧統一教会は、自民党との癒着などの批判に反論し、内部の締め付けを図って、「スラップ訴訟」を乱発している。
山上徹也については、事件後弁護士さんから言われて、私の書いたものをほぼ完全に読んでもらっていたことがわかり、さらに、メールをもらって返事を書いていたこともわかった、という。
エイトさんは「私が事件を止めることができていたかもしれない、と一時悩んだ」と話し、「山上徹也がなぜ犯行に走ったか、その心敞風景の系譜を探りたいと思った」と語った。そして、安倍元首相が統一協会に寄せた2021年のビデオメッセージについて、「これが山上の犯行のトリガー(引き金)になったのだが、それまで統一協会の後ろにいた政治家安倍さんが正面に出てきたこと、協会との関係を隠さなくてもいい存在になったことは、私にとっても衝撃だった。信者2世や、山上が激しい怒りと絶望を感じたのは不思議ではない」と述べた。
終わりではない
さらに、法人格が否定された後の旧統一協会について、「経済的には一足苦しくなり、財政的引き締めをし、献金し、韓国へ送金する要求も増えてくるだろう」と指摘。
対談では、岸田首相はとにかくこの対策を進めないと政権がもたないので、自派の盛山正仁氏を文科大臣に据え、党内からの声を封じて、法人としての解散命令を出すことにした、との分析も紹介され、「これで終わりではない」と強調された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年10月25日号
2023年11月28日
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