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「テレビ、新聞では決してやらない候補者全員取材の流儀―」。選挙取材歴25年のフリーランスライター、畠山理仁さん(50)の取材ぶりを追い、なぜ彼が寝る時間も削ってまで全員取材にこだわった選挙報道に人生をかけるのかを解き明かそうと密着取材している。
「選挙ほど面白いものはない」と全候補者の取材に駆け回る畠山さんの仕事(と言っても採算を度外視した取り組みなのだ)に、どんな意味があるのかを今こそ知ってほしい、前田亜記監督のそんな思いが映画の展開からビンビン伝わってきて共感した。
もう4年前になるが、2019年12月の「JCJジャーナリスト講座」で、畠山さんに講師をお願いした。テーマは「フリーランスの『オモテとウラ』――醍醐味と難しさ」。
案内はこうだ。<国政や首長選挙などでは、政党や大きな団体が支援する有力候補以外にも候補者が出る。いわゆる『泡沫候補』で、この候補の政策・主張などは、メディアは無視する。有力候補と同じ額の供託金を支払っているのに不平等な扱いを受けている。フリーランスライター畠山理仁さんは泡沫を無頼系独立候補≠ニして約20年間取材。それをまとめた『黙殺 報じられない無頼系独立候補≠スちの戦い」(集英社)は2017年第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した。フリーランスは、これと思ったテーマをふかぼり取材≠ナきる半面、生活の安定を望めない。「オモテとウラ」を畠山さんが話す>
この時は、まだモヤモヤしていたのだが、この映画を観てすっきりと「これからの選挙報道はこうあるべきだ」と確信できた。公開中。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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