2023年12月15日

【支部リポート】北海道 北大総長解任で結審 非違行為か真っ向対立=山田寿彦

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  脅迫的な辞任要求に始まる不可解な経過をたどった北海道大学総長解任事件。名和豊春前総長(69)=写真=が国と大学を相手に解任処分の取り消しと損害賠償などを求めた訴訟が10月18日、札幌地裁で結審した。原告側は解任手続きの違法性を重大な争点とし、解任手続きに深く関与した総長選考会議の石山喬議長(当時)ら3人の証人を申請したが、裁判所は却下した。判決言い渡しは来年3月13日。

 名和氏は同大総長選考会議の解任申し出を受けた文科省により、28件の非違行為を理由に20年6月26日付で解任された。同年12月10日に提訴。15回の口頭弁論を重ねた。

 今年6月から証人尋問が始まり、北大側証人として当時の事務局職員ら15人のほか、名和氏本人の尋問が行われた。
 北大側証人は非違行為の当事者とされた人たちで、名和氏から怒鳴られたり理不尽な叱責を受けたりした場面を具体的に証言した。名和氏は自身の証人尋問で、非違行為とされた事実認定に逐一反論し、双方の主張は真っ向から対立した。

 名和氏は解任手続きが始まる直前の18年9月、「パワハラに関する公益通報」を止めることを条件に石山議長や顧問弁護士から辞任を迫られた。名和氏が拒否したことで調査委員会が極秘裏に設置され、解任手続きが始まった。名和氏が文科省から開示された職員らのヒアリング記録によると、個々の非違行為は調査委員会によって名和氏の弁明を聞くことなく「調査報告書」として一方的に取りまとめられた。

 原告弁護団は石山氏、当時の副学長、調査委員会の委員長を務めた弁護士を証人申請したが、裁判所は認めなかった。
 弁護団が別に提起した情報開示請求訴訟で、名和氏のパワハラに関する公益通報は存在しないことが明らかになっている。総長選考会議は「パワハラ」を認定しなかったが、地元紙北海道新聞は「パワハラ認定」と誤報を打ち、今日に至るまで訂正していない。
 結審後の報告会で名和氏は「こんな醜い手続きにより解任が進められたことを明らかにし、二度とこのようなことが起きないでほしい」と述べた。   
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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