民放労連がこのほど「民放テレビ・ラジオ局女性割合調査報告」を公表した。これは、民放労連女性協議会が五年前から毎年取り組んでいる調査で、全国のテレビ局・ラジオ局の役員(取締役・監査役。顧問・執行役員は含まない)の女性比率を明らかにしたものだ。こうしたデータを自社のウェブサイトで公表している局もあるが、公表していない局については女性協が加盟単組などを通じて独自に集計した。詳細は民放労連のサイトをご覧いただきたい。
公表された2022年度データでは、在京テレビ局は2017年度に7社中5社(⽇本テレビ、テレビ朝⽇、テレビ東京、フジテレビ、NHK)で女性役員ゼロだったものが、今回初めて全局に一人は⼥性役員がいる状態になった。しかし、全国のテレビ局の63・8%、ラジオ局の72・4%で⼥性役員がいまだにゼロ。女性登用について民放業界は、わずかな改善しかみられていないことがわかった。ちなみに、事業者団体である民放連の各委員会の委員長は放送局のトップクラスが務めているが、こちらも現状では女性ゼロだった。
また、全国に放送するコンテンツを制作する影響の大きさから、在京キイ局の制作部門の女性比率も算出している。概ね以下の通りだった(抜粋)。
・在京キイ局の平均女性割合は、社員25・4%に対して、役員8・3%、局長16・8%、管理職18・1%。
・コンテンツ制作・編成部門の社員20・3%に対して、コンテンツ制作・編成部門の局長(相当)8・0%(27ポスト中、女性2名)。
・スポーツ部門の平均が13・5%と特に低い。
さらに、⼥性活躍推進法改正に基づき、昨年7⽉から常時雇⽤労働者 301⼈以上の事業主を対象に、男⼥間賃⾦格差の開⽰が義務付けられている。これについても放送局を調査したところ、男性を100とした男⼥間賃⾦格差は、在京キイテレビ局で平均81・0、在阪テレビ局で平均76・1だった。年収が高い管理職以上の女性比率が低いことなどが反映しているとみられる。
これらの調査結果を踏まえて、女性協は次のように提言している。
「各社、⽇本のジェンダーギャップ指数125位の低さについて報道していますが、⾃社の⾜元を⾒直すべきなのではないでしょうか。⺠放各社や⺠放連が、現状を直視して⾃主的に数値的⽬標を掲げ、⽬標達成のための具体的な計画を⽴て、実⾏しないことには、意思決定層に⼥性を増やすことはできません」
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
2023年12月24日
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