◆能登半島地震による書店被害状況は、1月5日午前10時時点で被災書店309店。そのうち「再開未定」が24店、「状況確認中」が5店。280店が「すでに営業再開および一部のみで営業再開」している。
北陸地方に店舗展開する勝木書店では、ほぼ全店で商品落下などの被害。石川県内の6店舗が大きな被害。天井やガラス什器が破損。同地域が断水のため臨時休業中。復旧のめどがたっていない。
◆23年11月の出版物販売金額865億円(前年比5.4%減)、書籍493億円(同2.9%減)、雑誌372億円(同8.5%減)。月刊誌313億円(同9.2%減)、週刊誌58億円(同4.2%減)。返品率は書籍34.0%、雑誌42.2%、月刊誌41.0%、週刊誌47.8%。相変わらず週刊誌の落ち込みが続く。
23年の年間販売金額は1兆638億円前後。かろうじて1兆円は維持したが、それも定価値上げに負うところが大きい。
◆出版物のルート別販売金額を見ると、マイナス幅が大きいのはコンビニルート。23年度の売り上げは1000億円を下回り、22年1172億円から20.4%減となった。1996年はコンビニでの出版物販売額が5571億円でピークとなったが、その後、漸減し続け今や6分の1となった。
日販のコンビニ配送からの撤退、紀伊國屋書店・CCC・日販の新会社ブックセラーズ&カンパニーが設立されたことも、影響しているのは間違いない。しかし、書店1万店の輸送網は6万店のコンビニルートによって成立している以上、コンビニ流通を守ることは書店配達を維持することと直結する。出版配送網インフラを拡充するうえで、コンビニ配送の位置づけを再確認すべきではないか。
◆メディアドゥは、昨年12月期の電子書籍・流通額(ジャンル別)の成長率を発表した。「コミック」が前年比2.5%増、「縦スクロールコミック」が同88.6%増、「写真集」が同3.3%減、「書籍」が同3.8%増、「雑誌」が同0.6%減。総合では前年同月比2.7%増だった。
ここで特筆すべきなのは「縦スクロールコミック」の急成長である。本においてはジャンルを問わず、いかに「縦読み」が読み手の自然な習慣になっているか、その証明でもある。
◆日販が運営する入場料のある本屋「文喫」が、名古屋にある中日新聞社の「中日ビル」に4月23日にオープンする。これまでの2店舗(六本木、福岡天神)と比べて圧倒的な広さを誇る、約370坪の大規模な店舗。
162席の座席を有する大喫茶ホールに、一点一点選書した約3万冊の書籍を取り揃える。さらに、おかわり自由の珈琲、紅茶サービスも用意する。
◆インターネット上の 誹謗 中傷への対策を強化するため、政府はプロバイダー責任制限法の改正案を、1月26日の通常国会に提出する。X(旧ツイッター)やメタ、グーグルなどを念頭に、SNSを運営する大手企業に対し、不適切な投稿を削除するよう申請があった場合、迅速な対応や削除基準の公表などを義務付ける。
SNSの運営企業の大半は海外勢で、削除の手続きや窓口のわかりにくさなどが指摘され、申請後も対応結果が確認できないケースもあった。今回の法改正は、誹謗中傷など権利を侵害する違法な投稿を対象としている。同様に対応が急務になっている偽情報や誤情報への対策は引き続き検討する。
◆創設50年になる仮説社という小さな出版社がある。東京・巣鴨にあるビルの3階の社内は3分の1が、本やグッズを販売する書店になっている。自社の本はもちろんだが、古本や個人出版の本(「ガリ本」と呼ぶ)から、実験器具やおもちゃ、手品からミジンコ、ガチャなども並べている。
この売り場の一隅に机と椅子をおき、夏休み自由研究講座や煮干しの解剖講座、近所の子どもたちを集めて仮説実験授業などを教える科学教室まで始めている。ちなみに同社発行の『うに―とげとげいきもの きたむらさきうにの ひみつ』が、こども家庭庁の2023年度児童福祉文化財の推薦作品となっている。
◆映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」がブームとなるなか、水木しげるさんの故郷・鳥取県境港市でスタートした、「とっとりクリエイターズ・ビレッジ」と名付けるプロジェクトが大反響を呼んでいる。
講談社「クリエイターズラボ」が、鳥取県と連携し地方創生とデジタルクリエイター支援を併せ持つプロジェクトを開始。あらゆるデジタルツールを駆使して創作活動している県外のクリエイターを境港市に呼び、生活の心配をせずに創作に打ち込んでもらう取り組みだ。
4月1日から2年間は境港市に居住して活動すること、その後も鳥取県に住み続ける意志があることなどを条件に、毎月約20万円(税別)が支給されるという。さらに担当編集がついて活動を支援し、創作講座が受けられるなどの特典が付く。このプロジェクトに参加できるクリエイターは5人。応募締め切りは2024年1月15日。
◆末尾ながら、今年2024年は世界的な選挙イヤーになる。台湾総統選挙(2024年1月)→インドネシア大統領選挙(2024年2月)→ロシア大統領選挙(2024年3月)→韓国総選挙(2024年4月)→インド総選挙(2024年4月〜5月)→欧州議会議員選挙(2024年6月)→メキシコ大統領選挙(2024年6月)→東京都知事選挙(2024年7月までに)→自由民主党総裁選挙(2024年9月までに)→アメリカ大統領選挙(2024年11月5日)→参議院議員選挙(2025年)
なかでも影響が大きいのは、アメリカ大統領選挙。ドナルド・トランプ再選でもなれば、“同盟国にとっての「悪夢」”が再来、動向が注目される。
2024年01月18日
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