2024年01月23日

【ジャーナリスト講座】前篇2回分の内容=須貝道雄

 記者をめざす学生向けにジャーナリスト講座を10月から6回シリーズで開いた。その内容を報告する。
自分で企画する面白さ
◆記者の仕事と昨今のメディア就活事情 初回は10月9日、東京の会場で開いた。講師を務めた共同通信・新崎盛吾さんの記者歴は30年超。「この仕事に人生をかけて良かったと今でも思える」と記者職の魅力を語った。
 いま、新聞記者は「花形の職業」ではない。働き方がブラックだ、新聞の影響力が落ちた、ネットでたたかれる、といった負のイメージがある。しかし、取材して情報を発信する専門職としての仕事はなくならない。新聞も規模縮小はあっても「あと40〜50年はあるだろう」と予測した。

 新人で赴任した山形支局で新崎さんは「週に1本暇ネタ(急ぎではない話題)を書く」を目標にした。成田支局時代は空港反対派農民と酒の付き合いを深め「自分の興味にはまった」。これを機に北朝鮮や日本赤軍に関心を持ち、よど号ハイジャック事件やテルアビブ空港乱射事件の犯人のインタビューを手掛けた。「海外の日本人の取材を自分の企画でできた。これが記者の面白さ」と裁量の幅の広さを強調した。
◆新崎盛吾さん・共同通信.jpg

                
遅い防衛省の情報開示
◆若手記者が取り組む沖縄報道 10月15日にオンラインで開催した。講師のNHK沖縄放送局・宮原啓輔記者は1993年生まれ。2019年、新人で那覇に赴任し、今年から沖縄中部支局(沖縄市)に移り、名護市辺野古の米軍基地建設現場も取材している。
 支局から嘉手納基地までは車で10分。平日は朝から上空を旋回する米軍機の騒音に悩まされ、大音量の米国国歌を出勤時に聞く。基地の島を実感している。最近の特徴は「南西諸島防衛強化」に伴い、自衛隊のニュースが増えたことだ。防衛省の関係者は「今まで5年間でやった仕事を、ここ1年でやっている」と話した。

 問題は防衛省の情報開示が遅いことだという。前日や前々日になって「しれっと急にプレスリリース(発表文書)を出す」。10月に陸上自衛隊のオスプレイが沖縄に飛来し、初めて石垣島の民間空港に着陸した際も、事前には明示せず、メディアが飛来計画を報じた後に公表した。安全保障は大事というが、ツケを払うのは地元の人たち。そこに目を向けてほしいと思いながら取材していると語った。
    
NHK・宮原啓輔記者 .jpg

    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | ジャーナリスト講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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