パレスチナ自治区ガザの住民に希望を与えた詩がある。詩人でジャーナリストのアハマドが2018年ネットにあげたもので、こんな詩だ。
私は空を飛ぶ鳥を見上げた/鳥たちは有刺鉄線の塀を隔てた両側の木々の間を自由に飛び回っていた/なぜ私たちは単純なことを複雑に考えるのか/行きたいところへ鳥のように自由に行くことは人間の権利ではないだろうか/これ以上に単純なことはないではないか/鳥は飛びたいと思うから飛ぶのだ
日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)連帯委員会の昨年末のオンライン学習会で講演した中東問題研究家の平井文子氏は、そして彼は平和的な手段による抵抗運動を提案したという。平井氏が続けた。
「もしも、何千何万のパレスチナ人が平和裏に行進し、1948年(イスラエル建国宣言、大量のパレスチナ人が難民に)以来排除されてきた土地から切り離すフェンスを越えたら何が起きるだろうか。非暴力的な民衆行動がパレスチナ人の権利を取り戻し、世界最大の天井のない監獄から彼らを解放すると信じた」
実際、この年の3月からガザの大帰還行進が実現した。厳重に武装化されたフェンスに向けて行進が毎日のように続いた。それに呼応して、イスラエルの反シオニストグループ(パレスチナの地にイスラエル国家をつくることに反対する組織)が彼らを歓迎するためにフェンス近くまで行った。お互いに手を振り、携帯電話で話した。こうした平和的な抗議活動は1年以上続いたが、イスラエルは強権的な弾圧により抗議活動を鎮圧した。
「フェンスに常駐するイスラエル軍のスナイパーが参加者をテロリストと決めつけ標的にした。合計214人が射殺され、3万6100人が負傷した。こうしたガザの人たちの平和的な反占領闘争に対するイスラエルの暴力的な仕打ちをマスメディアはほとんど伝えなかったのです」(平井文子氏)
一編の詩がガザの希望と絶望を引き起こした。悲しくてやりきれない話ではないか。
2024年01月27日
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