2024年02月09日
【ジャーナリスト講座】後半1回分の内容=須貝道雄
原発避難者の今を追う
12月2日は『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書)の著者でジャーナリストの青木美希さんを講師に、東京の会場で開いた。札幌市の出身で、1997年に北海タイムスに入り、これまで新聞3社で働いてきた。経済格差の原因を調べたいから記者をめざしたという。
札幌から上京して驚いたのはホームレスに対する冷たさだった。東京スカイツリーの建設中に、近くの川べりで野宿していた男性は行政から立ち退きを求められた。生活保護も打ち切られ、やがて水死体で見つかった。「泳げないし、酒も飲まない人だったのに」と青木さん。
福島原発事故避難者の取材も続けている。福島県いわき市から家族で東京に避難した18歳男性。教師になるのが夢で、学費半額の減額制度を利用し大学に入った。喫茶店のバイト、塾教師など三つの仕事を掛け持ち、年41万円の学費と家族の生活費を稼いだ。だが16年2月に大学が制度の廃止を通告。彼は夢をあきらめ中退した。住宅提供の打ち切りで、父親が離れて働くことになり、中学生の息子が自殺者するケースもあった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
この記事へのトラックバック