自民党の派閥の政治資金パーティーの「裏金」問題は、政界の深部を激震させている。「しんぶん赤旗」日曜版の報道が突破口となり、カネ集めに狂奔する自民党の醜態が白日の下にさらされているのだ。
『週刊文春』2月15日号は、「二階俊博に直撃 長男が疑惑団体の会計責任者 『消えた50億円』」の問題に切り込んだ。二階氏は自身の秘書と二階派の会計責任者が既に立件されている。自民党幹事長の在任期間が歴代最長の5年に及んだ二階氏は使途不明の政策活動費50億円を受け取っていた。50億円はどこに消えたのか。選挙対策として地方議員などに渡されるというが、実態の解明は進んでいない。幹事長在任中に二階氏は派閥の議員を36人から46人まで増やしたというから、カネで権勢を拡大したわけだ。
「裏金」問題に幕引きを図ろうとする姿勢が目立つ岸田文雄首相も火だるまになっている。『週刊ポスト』2月2日号は「爆弾スクープ」と題して「岸田文雄首相の『違法パーティー』収入は322万円! 22年6月の『総理就任を祝う会』で多額の会費を集めながら報告せず――」との記事を掲載した。「この総理に裏金問題に対応する資格はあるのか」と問うている。岸田首相のパーティー収入は約1100万円以上で、自民党広島第一選挙区支部への寄付約322万円、差額の約778万円はどこに消えたのか。
同誌2月9・16日合併号でも「徹底追及」と題して、岸田首相の名ばかりの会計責任者を直撃取材した記事を掲載している。自民党の脱税疑惑をさらに追及してほしいところだ。
自民党の裏金問題報道をかき消そうとするかのように公安筋から出てきたのが長年の指名手配犯の逮捕、死亡という報道だった。死人に口なし。このニュースから得られるものは驚くほど少ない。
『週刊ポスト』2月23日号の「元公安トップが証言『桐島聡をなぜ逃がしたか』」(竹中明洋氏)は、三菱重工ビル爆破事件など1970年代の連続企業爆破事件で東アジア反日武装戦線のメンバーで長らく指名手配を受けていた桐島聡を名乗る男性の騒ぎに一石を投じている。メディアの過剰な報道は何だったのか。元公安調査庁長官の緒方重威氏は、同誌に「彼は組織の幹部メンバーではありませんでした。実はあの三菱重工ビル爆破事件にも桐島は関与していません」と証言している。一連の報道に首をかしげるばかりである。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年2月25日号
2024年03月01日
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