2024年03月12日

【出版トピックス】海外へ進出する書店・本屋さん振興策の行方=出版部会

◆漫画『ドラゴンボール』の作者・鳥山明さんが、急性硬膜下血腫により3月1日逝去(享年68)。心からお悔やみ申し上げます。鳥山さんは1978年に『ワンダーアイランド』でデビュー。その後、『Dr.スランプ』、『ドラゴンボール』などの人気作品を世に送り出し、アニメ化され世界的な人気漫画家となり、今もなお愛され続けている。

◆24年1月の出版物販売金額731億円(前年比5.8%減)、書籍457億円(同3.5%減)、雑誌273億円(同9.5%減)。月刊誌219億円(同10.0%減)、週刊誌54億円(同4.7%減)。返品率は書籍33.8%、雑誌47.8%、月刊誌48.4%、週刊誌45.2%。相変わらず雑誌の落ち込みが続く。今年は月刊誌だけでなく週刊誌の休刊もありうる気配が濃厚だ。

◆日本の書籍市場が縮むなか、紀伊国屋書店は海外市場への進出を加速させ、漫画と雑貨で売り上げ増進を図る。テキサス州の紀伊国屋オースティン店では、コミック『ONE PIECE』などが並び、売上高の半分をキャラクターグッズなどが占める。
 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も東南アジアの市場をターゲットにし、日本の雑貨を扱う店舗を増やす。

◆経済産業省は「書店振興プロジェクトチーム」を発足させた。その背景には自民党の「街の本屋さんを元気にして日本の文化を守る議員連盟(幹事長は齋藤経産大臣)」の要望がある。書店議連の提言には「ネット書店の送料無料配送に向けた実態調査・必要な対応」「図書館での過剰な蔵書の禁止 地元書店からの優先仕入れ」などが含まれている。
 しかしネット・図書館・書店、それぞれに良さがあるので、短絡的に規制するなら、本の購入にも閲覧にも弊害が生まれる危険も考慮すべきだ。まずは衰えている読書環境を充実させ、読書意欲を育てる方策を、どう作るかが先ではないか。

◆SHIBUYA TSUTAYAが、4月25日から営業再開。運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、これまでにない新しい「カルチュア・インフラ」を作る。<財産的価値のある情報>を創出するという。
 地下2階から地上1階までは期間限定のストア、イベントを展開。2階から4階はカフェとラウンジ。5階から7階は書店、カフェ、ラウンジ。全館で利用できる座席は約500に及ぶ。8階はスタジオ、屋上は野外イベントスペースになる。

◆上野千鶴子さんの本が中国で大ヒット。弱者が弱者のままで尊重されるよう訴える思想が、とりわけ20〜30代の高学歴女性に共感を呼んでいる。中国では上野さんの著書が20冊以上も中国語に翻訳・出版され、総販売部数は数十万部に上る。鈴木涼美さんとの共著『往復書簡 限界から始まる』が「今年一押しの本」に。北京大で開いたオンラインの講演には全国から聴講希望者が殺到した。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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