2024年03月19日

【支部リポート】香川 豊島のその後を聴く 太陽光発電で敗訴=今岡重夫

 香川支部は1月20日、瀬戸内海の豊島で環境を守るために活動してきた石井亨さんを迎えて月例会を開きました。
 香川県土庄町の豊島は、1960年代から島の西部地域で始まった産廃問題に苦しんできましたが、住民の長年にわたる反対運動で2000年に公害調停が成立。投棄された90万d強の廃棄物処理作業は17年に完了しました。
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 しかし、処理作業のめどがつくのと前後して、今度は島の東側の唐櫃(からと)地区で太陽光発電事業の計画が浮上。住民たちは21年に完成した太陽光発電施設の撤去を求めて裁判を続けてきましたが、昨年暮、高松地裁は住民の訴えを退けました。
 豊島自治会連合会資料をもとに経過を説明した石井さんは、「現行制度の矛盾に門前払いされ、勉強にはなったが、地域共同体の限界を思い知らされた」と話しました。

 石井さんによると、新たな闘いの発端は2015年、小豆島のホテルが共有林の隣接地に、電力買い取り保障の認可を受け、発電所を計画したこと。用地造成を巡る産廃不法投棄で住民に刑事告発され業者の有罪が確定。県も業者を自然公園法違反で指導した。

 しかし、業者はその後用地を転売。住民は電気事業法による構造基準などに基づいて追及したが、業者が建設を強行したため訴訟に踏み切ることになったという。
 裁判は当初の争点だった「違法建設」から、「発電収入」の権利の「費用均衡」だけで判断され、住民側の敗訴に。発電所完成と転売が繰り返されたことが棄却の理由とされました。

 住民と自治会は「現時点でも違法」だと確認していますが、「転売で責任が問えない」という制度の矛盾を痛感しており、今はこの事例を報告としてまとめ、経産省に提出すべく作業に取り組んでいるという。 
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年2月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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