自民党の「裏金問題」を追求する衆議院政治倫理審査会(政倫審)が2月29、3月1日に行われた。しかし、出席した岸田文雄首相ら6人の答弁は予算委員会質疑などで、これまで明らかになった内容以上のものは出てこなかった。
これを受けて、新聞各紙は3月1、2日付の朝刊社説で「6人の答弁は不十分」などと書いたが、毎日、朝日、西日本が「参考人招致や証人喚問が必要だ」と主張したのに比べ、読売、産経はそれらに言及しなかった。やはり、現政権への姿勢の強弱が如実に表れているとみるべきではないだろうか。
今回の政倫審に関して、2日続けて社説を書いているのは毎日、読売、産経。毎日は「岸田首相と政倫審 何のために出て来たのか」(1日)の見出しで岸田首相に「安倍派や二階派の幹部らに、裏金事件の経緯や使途を、国会ですべて明らかにするよう指示することだ。…さもなければ、政治不信は増幅するばかりだ」と力説した上に2日付では「政倫審に安倍派幹部 やはり証人喚問が必要だ」と見出しで踏み込んだ。説得力がある。
読売は、「開いただけでは解明にならぬ」(1日付)、「国会の混乱 言論の府の権威を貶めるな」(2日付)、産経「首相 全容解明にもっと努力を」(1日付)、「安倍派の不記載 この説明では納得いかぬ」(2日付)と首相と他の5議員の答弁に対する「不満」に絞って書いているだけで、その打開をどうしたらいいのかには触れていない。
朝日の「政倫審社説」は2日付だけで「政倫審 予算案強行の踏み台か」の見出しとともに、首相の出席を、「実態解明の先頭に立つという決意などではなく、予算案の採決を強行する『踏み台』として政倫審の開催を急いだというのが実際だろう」と推測。さらに「森喜朗元首相を国会に呼び、説明を求めるしかない」「二階俊博元幹事長や、安倍派『5人衆』で残る萩生田光一前政調会長ら、当事者は大勢残っている。参考人招致や証人喚問も含め、説明責任を果たさせねばならない」と強調する。
西日本は「裏金の全容がつまびらかにならないと、的確な再発防止策は打ち出せない。国会は参考人招致や証人喚問を検討すべきだ」と強い姿勢を見せている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年3月25日号
2024年03月30日
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