全国1741市町村のうち、書店ゼロの自治体が今年3月時点で482市町村に増え全体の27・7%に達した―出版文化産業振興財団の調査でわかった。それによると沖縄、長野、奈良の3県で書店がない市町村が過半数を占めた。2022年9月の初調査と比べて全体で1・5%増えている。また書店が1店舗あるだけの市町村は343に上り、この無書店予備軍≠ニ書店ゼロを合わせた比率は47・4%に。
人口減少とインターネットによる書籍販売の急拡大が主因だ。日販ストアソリューション課「出版物販売額の実態 2023」によると、ネット販売は22年度2872億円で、10年前の12年度の1446億円の2倍に増えた。一方、書店の販売額は8157億円で、12年度の1兆3607億円の6割にまでダウン。
減り続ける街の本屋さんを助けるべく経済産業省は今春、書店振興プロジェクトチームを立ち上げた。4月17日の書店経営者との対話集会に出席した斎藤健経産相は「ウェブと図書館と本屋が持ち味を生かしながら共存があるべき姿だが、3つの中で本屋は割を食っている」と語った。
自民党の国会議員が結成した「町の本屋さんを元気にして日本の文化を守る議員連盟」は書店支援のための提言書を作成し、政府に昨春提出。提言書では送料無料化や過剰なポイント付与という実質値引きのネット販売に対して書店は不公平な競争環境に置かれていると現状を分析した。注目すべきはネット書籍販売の送料無料を禁じたフランスの「反アマゾン法」。法施行後、フランスでは無料に近い送金を設定した業者が規制逃れしたため23年に法改正し送料の最低額を定めさらに強化した。
提言を受けた公正取引委員会は、ネット送料無料について書店や出版業界に聞き取りを始めた。
ただ短絡的に規制すると、消費者のデメリットにもなる。JCJ出版部会は「ネット・図書館・書店、それぞれに良さがある。(中略)まずは衰えている読書環境を充実させ、読書意欲を育てる方策を、どう作るかが先ではないか」(3月11日Daily JCJ『出版トピックス』)と述べている。
規制にすくに走るのではなく、「読書マインド」を盛り立てるのが先決だろう。
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