自民党派閥の裏金事件は、疑惑解明が進まず、国民の怒りは高まるばかりだ。裏金づくりは、党ぐるみの組織的犯罪だが、岸田首相は「党内処分」で幕引きを図るが、自民党の混乱は激しさを増している。
岸田政権は3月26日、次期戦闘機の日本から第三国への輸出解禁を閣議決定した。朝日27日社説は「専守防衛を空洞化させた安保3文書に続く、国民的議論なき安保政策の大転換にほかならない」と批判する。同日の毎日社説も「平和国家の姿が問われる」と。読売社説が、この問題を報じていないのは、なぜなのか。
このほかにも大軍拡、平和国家を揺るがす動きが続く。事故の究明なき欠陥機オスプレイの飛行再開、防衛省の防衛力の抜本的強化に関する有識者会議の軍拡増税推進、米軍との一体化を進める自衛体統合司令部創設、そして経済安保情報保護法案などだ。沖縄のさらなる基地強化、うるまに陸上自衛隊訓練場計画には、県民の怒りが頂点に達し、島ぐるみで反発のうねりが広がる(東京3月27日)。
日銀は11年にわたる「異次元緩和」見直しを決めた。アベノミクスを修正するものだ。株価上昇の一方で、円安による物価高騰が国民生活を圧迫。小林製薬の紅こうじ健康被害も、アベノミクス成長戦略による規制緩和の「負の遺産」でないか(毎日3月31日)。
日本維新の会は、軍拡や憲法改正の「旗振り役」だが、昨年夏頃から失速気味だ。きっかけは維新が主導してきた大阪・関西万博。開幕まで1年を切ったのに準備は遅れ、能登半島地震以降、国民の批判がさらに高まる。建築界のノーベル賞と言われるプリツカ―賞を受賞した建築家の山本理顕氏は、「地元・横浜のカジノ計画に反対して対案をつくり、大阪・関西万博も現在の計画に疑問を呈する」(朝日3月10日)。
山本氏が「IRのための万博」というように、大阪湾の人工島・夢洲の万博会場隣でIRカジノ工事が始まっている。夢洲でのインフラ整備は、万博だけでなく、IRカジノのためでもある。
維新は大阪の「成長戦略」として、万博とカジノを推進してきた。軟弱地盤の夢洲で、底なしの財政負担が危惧されており、維新の政治責任が厳しく問われている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
2024年05月17日
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