対話型生成AIを悪用してコンピューターウイルスを作成した25歳の男が5月末に警視庁サイバー犯罪対策課に逮捕されて話題になった。生成AIによるウイルス作成容疑での摘発は全国で初めてだった。
使われたのは検索すれば出てくる無料の3種類のAIで、「ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)を作って楽に金を稼ごうと思った」というのが動機だ。
全国で初の摘発というのもさることながらAI業界が一番ビックリしたのは、犯人は、AIの専門知識がないのに、自宅のパソコンやスマホを活用して容易にウイルスの設計図を作成したことである。
IT業界をサポートする大手ソフト会社のサイトは、生成AI技術と普及がもたらしたこの犯罪の影響をこう指摘している。@サイバー攻撃を巧妙化させる、Aサイバー攻撃の頻度と精度がアップする、BITに精通していなくても低コストで簡単にサイバー攻撃用プログラムがつくれるので、犯罪に参入しやすくなった―。
では企業や組織など防御側はどうすればよいのか。こちらも生成AIを活用すれば防御技術を進化させることができる。脆弱性や弱点の発見が可能で「先手を打つ形で強力な防御体制を構築できる」としている。
使う人の指示や問いかけに応じ、大量のデータで学習した内容をもとに文章、画像、音声などを編み出す生成AIの出現で、サイバー攻撃とそれに対する防御のイタチごっこが本格的に始まった。
2024年06月11日
この記事へのトラックバック