2024年08月09日

【月刊マスコミ評・新聞】能登半島地震 復興遅れの検証必要=山田 明

 自民党の裏金問題が、最大の焦点となった通常国会が閉会したが、これほど国民を愚弄した国会も珍しい。ザル法の改正政治資金規正法について、自民党議員からは「政治にはカネがかかる」と開き直ったような言い訳が出る始末。岸田首相も党首討論で「政治にはコストがかかる」と発言。朝日6月22日社説は「信を失う国民感覚とのずれ」と深まる政治の危機に警鐘を鳴らす。

 国民を愚弄する自民党とも手を組んだ小池氏が、都知事選で3選を果たした。都民が小池都政をなぜ支持したのか、巧みなネット戦略で大量得票した石丸氏、掲示板が不足するほどの大量候補など、都知事選は多くの課題を残した。

 今国会で目立ったのが、日本維新の会の迷走ぶりだ。「身を切る改革」を旗印に勢力を伸ばしてきた維新だが、最近では存在感に陰りが見え、政権とのスタンスを巡って内部で温度差も生じている(毎日6月27日)。馬場代表と吉村共同代表の対立、党分裂すら報じられている。大阪維新の会とともに、国政での維新の動向にも注目したい。

 能登半島地震から半年余りが過ぎたが、復興の遅れは深刻である。今なおライフラインの復旧や被災家屋の解体撤去が進まず、先が見通せないことへの不安、置きざり状況への怒りが広がっている。
 なぜ、ここまで復興が遅れているのか。人口減少時代の過疎地域に特有な問題と片づけられない。国や自治体の災害対策のあり方をハードとソフトの両面から検証する必要がある。今国会で成立した地方自治法改正は、自治体に対する国の「指示権」を拡大するものであり、地方分権に逆行し、自治体の災害対策・復興にも悪影響を及ぼすことになる。

 鹿児島県警は、福岡に拠点をおくインターネットの記者宅を家宅捜索した。内部情報を漏らしたとして県警本部長が地方公務員法違反容疑で逮捕された事件の関連だった。「警察にとって不都合な報道の情報源を探るための強制捜査だったのではないか。そうだとすれば、報道の自由が脅かされる事態だ」(毎日6月23日)。メディアへの強制捜査は、権力に不都合な事実を報じる「取材の秘匿」を脅かす。メディアの取材の根本を揺るがす異常な事態だ。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年7月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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