2024年08月13日
【環境破壊】海はプラスチックスープ、 磯焼け、海面上昇 武本氏招き例会 「気候正義の言葉覚えて」=神奈川支部
神奈川支部は6月29日、横浜市で支部例会を開いた。講師はプロダイバーで環境活動家の武本匡弘氏=写真=。武本氏は自ら撮影した水中画像を示し、危機的な海の環境破壊の状況を報告した。
大気中の二酸化炭素の増加による地球温暖化は、海の環境も大きく変化させた。海面温度の上昇により沖縄ではサンゴの白化が起こり、全国的には海藻が育たない「磯焼け」が広がっている。
サンゴ礁の海に住む魚はサンゴと共生しているので、太平洋の島嶼国の人々は食料危機におちいっている、とヨットでキリバスやマーシャル諸島などの国々を訪問した武本さんは説明した。温暖化による海面上昇も深刻で、大潮の満潮時には国土全体が水につかる島もある。CO2を排出して豊かな暮らしを維持している先進国と、温暖化の犠牲になっている国の間には不正義がある。不正義は国家間だけでなく、現在豊かな生活のためにCO2を排出してきた世代と、その影響を被る次世代の間にもあるとして、武本さんは「気候正義」という言葉を覚えてほしいと語った。
武本さんは毎年ヨットで太平洋の島々へ航海している。航海中、何日も島影を見ない海域でも、毎日見かけるのはプラスチックの漂流物。細かな網を海中に入れると、プランクトンに交じりマイクロプラスチックが採取される。中でも多いのが化学繊維だ。EUでは2050年までに化学繊維の使用を禁止しようとしているが、日本は全く問題意識をもっていない。「地球の海はプラスチックスープの海」だと武本さんはいう。
海洋プラスチックと地球温暖化は共通する問題だ。プラスチックは石油から作られるし、リサイクルするにもCO2が排出される。
講演の後半では、気候変動と平和の危機の関係が語られた。
武本さんは沖縄を年に4回訪れている。辺野古の大浦湾で潜水するためだ。一昨年の11月と昨年11月に撮影した写真を比較し、1年の間にサンゴの破壊が進んでいることを示した。
戦争準備は基地建設にとどまらない。地球温暖化の影響を受けているグアム、サイパンなど太平洋の島々は、米軍のリクルートの盛んな地域で、そこで勧誘され入隊した兵士の戦死率は、米本国の4倍だ。
戦争は準備段階から軍事行動、そして戦後処理に至るまでCO2を大量に排出する愚行と、武本さんは強調した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年7月25日号
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