2024年09月03日

【就活支援ゼミ】来春 21人が記者に 「報道実務家フォーラム」と共催=新崎盛吾(新聞労連元委員長、共同通信記者)

                      
共同通信の新崎盛吾さん.jpg

 記者志望の学生の就職活動を支援する「就活支援ゼミ」が、今期の活動を終えつつある。JCJとしては2年目の取り組みで、今期からは「報道実務家フォーラム」との共催となった。

 昨年9月からゼミ生の募集を始め、11月から約30人の学生を3班に分けて作文やエントリーシートの書き方、模擬面接などを毎月指導。その合間に、学生同士のオンラインによる自主ゼミも、毎週のように開かれた。
 昨年まで講師は私だけだったが、今期は「報道実務家フォーラム」から毎日新聞編集委員の日下部聡さん、共同通信記者の松井健太郎さんらが加わり、2人ずつの講師で各班を指導する形に拡充することができた。
 年が明けてから加わった学生も含めて、最終的には37人が参加。今も就活を続けている数人を除き、計23人が来春から記者として、社会人の第一歩を踏み出すことが決まった。就職先は8月時点で、読売新聞と共同通信がそれぞれ4人、日経新聞、朝日新聞、NHKが各2人。時事通信、福島民友新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、九州朝日放送などにも進む見通しだ。

 近年の新聞・放送業界は、採用活動の開始時期の前倒しに拍車が掛かり、12月には全国紙が内定を出し始める。3月には大手紙の大半が採用活動のピークを迎え、ブロック紙や地方紙が少し遅れて動き始める流れだ。記者志望の学生が減少する中で、複数の内定を得る者も多く、各社が夏から秋にかけて採用辞退者の補充を繰り返す。
 春になると、複数の内定を得たゼミ生が就活を終えるほか、他業界から内定を得て記者の道を断念する者も出てくるため、ゼミの参加者は次第に減少する。4月以降は3班態勢から就活を続けるゼミ生を一つの班に再編し、開催日も毎週に増やして6月まで指導を続けた。7月以降じゃ個人対応に移行している。
 1人当たりの参加費は5千円だが、ゼミ生が希望する限り支援を続けるため、十分に元は取れると思う。
 一方で、今期は記者としての内定を得ながら他業界に進む選択をしたり、大手紙の採用が一段落する春以降、ブロック紙や地方紙を受けずに記者の道を断念したりする学生も目立った。就活を通じて自分の将来について真剣に考えたり、適性を判断したりする機会になっていることを願いたい。

 新聞労連の委員長に就任した2014年以降、「新聞労連作文ゼミ」の就活支援で、9年間に約300人の学生を新聞・放送業界に送り出してきた。昨年からJCJに活動の場を移し、今期から「報道実務家フォーラム」との協力態勢も整えることができた。

 記者の仕事が逆風にさらされる時代だからこそ、強い思いを持った学生の力を底上げする支援活動の重要性は、さらに増したと思う。初めて会った時には記者に向かないと思った学生が、数か月でたくましく成長することは珍しくない。就活で苦労した学生ほど、離職せずに頑張り続ける傾向もみられる。その後押しをする活動が、将来の新聞・放送業界、ひいては日本のジャーナリズム活動を支えることにつながるはずだ。
           JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年8月25日号

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