2024年09月10日
【シンポジウム】沖縄本島にも基地・施設 自衛隊の地対艦ミサイル連帯配備 「攻撃の的になる」危機感=古川英一
「日米共同作戦の拠点化許すな!」をテーマに沖縄・琉球弧の声を届ける会が7月の20日から2日間開いたシンポジウムとフィールドワーク=写真=に参加した。
那覇市から車で約1時間半、うるま市の小高い丘にある陸上自衛隊勝連分屯地。ここに地元を始め多くの県民が反対する中、今年3月、第7地対艦ミサイル連隊が配備され、90人の隊員は、3倍超の290人に増員された。配備された12式地対艦ミサイルの射程は200キロ。台湾有事をにらんでだが、万が一の場合、むしろ標的になり住民が巻き込まれる恐れがある。
何しろ地区の学校まで150メートル、集落まで490メートしか離れていないのだ。反対運動を続けている照屋寛之さんは「2025年には射程が1500キロもある能力向上型ミサイルが配備される予定だ。住民のことを考えれば、沖縄では憲法が無視されている」と憤る。ゲートの柵の向こう側では若い自衛隊員がカービン銃を手に持ち、無表情でこちらを監視していた。
同じうるま市でゴルフ場の跡地に陸上自衛隊が、訓練場を新設する計画が去年12月に明きらかになり、今年4月に住民の反対で撤回された。その予定地周辺にも足を運んだ。隣には年間5万人が利用する県立石川青年の家があり、少し下った「旭区」には2500人近くが住む。
反対運動はまず地元「旭区」の自治会から始まり、市や県内の他の自治体にまで広がって断念に追い込んだ。反対運動の会の伊波洋正さんは「防衛省の計画はあまりにもずさんで、住民の視線がまったくない。今回は島ぐるみの闘いで、保守・革新を超えた住民運動の爆発が勝因です」と話していた。
一方シンポジウムでは、沖縄市の陸自補給拠点計画についての報告があった。計画は一昨年12月の安保改定3文書に基づき沖縄市池原に防衛者が陸自の弾薬庫などを設置する。この問題で地元の市長は防衛は国の専権事項、意見を言う立場にないとコメント、市議会答弁では弾薬庫建設を容認した。
これに反対をする市民の会の諸見里宏美さんは「市長の責務は市民の命と財産を守ることで、『容認しない』権利がある。秋田県や山口県は首長がイージスアショア配備に反対し撤回させたではないか」とその姿勢を批判した。「弾薬庫ができれば日米が共同で使用し、この一帯は攻撃の的になる。沖縄を日米軍事一体化の拠点とすることを許さない」と訴えた。
米軍基地に加えて先島諸島から沖縄本島へと自衛隊が増強される。沖縄の人たちが直面する危機感が、夏の強い日差しのようにヒリヒリさせられた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年8月25日号
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