2024年10月17日
【JCJ8月集会B】第2シンポ 最後の砦としての平和憲法 久道 メディアに携わる責任問う 大森=鈴木 賀津彦
第2部のシンポジウムでは、『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』(NHK出版)の著者、大森淳郎さんと、若者の政治参加に積極的に取り組む若手弁護士、久道瑛未さんが加わり「軍拡の動きに、私たちはどう対応するか」をテーマに議論した。
大森さんは、1925年登場したラジオ放送に携わった人々が戦争の拡大をどう捉え、どう報じたのか、また報じなかったのかを、丁寧に検証したことを紹介。記者、ディレクター、アナウンサーなどの放送人たちが遺した証言や記録、NHKに遺された資料などから、戦時放送の中でも国策にただ従うだけではなく、自ら「何ができるか」を悩み、模索していた出来事ピックアップし、現在の状況と比較ながら解説した。軍拡の宣伝者の役割を押し付けられる中で、メディアに携わる者がどう考え行動できるのか、検証を踏まえて今の状況に向き合う放送人への責任を問いかけた。
久道さんは、2022年12月の安保3文書(敵基地攻撃能力保有)の閣議決定以降、政府の法律改正は日本が戦争をするために行われている現実をまとめ、それに抵抗する手段としての憲法の役割がいかに重要かを強調した。23年には「大学・学問への介入」のために国立大学法人法を改正、24年の防衛装備移転3原則改訂(次期戦闘機輸出)、特定利用空港の指定、重要経済安保法成立、地方自治法改正などのほか、議員任期延長を可能とするための憲法改正の動きなど、全てが戦争準備のための法律・制度を整えてきている日本の現状を報告した。
「最後の砦としての平和憲法・憲法9条」の重要性を訴え、対中・対米外交の在り方についても「台湾有事への平和憲法に基づく対抗言論、平和国家だからこそ果たせる役割を探る」ことが必要だと述べた。そのうえで、若い世代の意識に訴えていく形として、久道さんが取り組んでいる「石垣島住民投票」の権利を問う裁判など「CALL4」(社会問題の解決を目指す訴訟<公共訴訟>)の活動などを紹介し、若者が社会的なアクションに動き続け広げていることの展望を示した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年9月25日号
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