2024年12月06日

【連続シンポジウム】テレビを市民の手に NHK・民放改革迫る=編集部

 「テレビは報道機関の役割を果たしていない」「テレビは政府広報か」など、テレビ報道批判が絶えない中、NHKとメディアの今を考える会は立教大学砂川浩慶研究室の協力を得て「取り戻せ!テレビを市民の手に」を共通テーマとする連続シンポジウム開催した。

 第1回は「民放改革迫る新しい市民運動」と題して9月28日に開かれ、「テレビ輝け!市民ネットワーク」共同代表の前川喜平さんらが、テレビ局に市民の声をより広く反映させるために、6月のテレビ朝日ホールディングス株主総会で株主提案権を行使した経過について報告、講演した。
 その中で前川さんは、安倍政権以降、テレビメディアへの政治介入が進み、メディア自身にも忖度体質が拡大している状況を指摘した上で「民放、NHKともに本来の公共的使命を果たしていない。民主主義が正常に機能するためには、メディアと教育が欠かせない」と強調。市民ネットワークの杉浦ひとみ弁護士が「テレビはまだ信頼されている。ダメにしてはいけない。批判よりも応援をしていきたい」とエールを送った。

 連続シンポ第2回は10月13日、「公共放送NHKをめぐる二つの市民運動〜原点はETV2001番組改変事件〜」をテーマに開催された。
 集会では、当時NHKプロデューサーとして同番組を制作した永田浩三武蔵大学教授が、安倍晋三官房副長官(後、首相)の「意見」により、松尾武放送総局長から大幅な番組改変が指示された事実を明らかにし「憲法21条は『検閲はこれをしてはならない』と定めている。これを検閲と言わずして何と言おう」と改めて厳しく批判した。

 2005年にこの改変事件を告発した長井暁氏は「NHK職員はジャーナリズム活動をしたいのです。しかし、自民党はさせたくない。NHKの記者やディレクターの取材力が解き放たれたら、自分たちの不都合なことがどれだけ報道されろか分からないから、自分たちがグリップして置きたい」と、自民党の本音を指摘。市民、視聴者かもっと怒りの声を上げるべきだと強調した。
 同時に長井氏は「2023年のNHK会長選に前川喜平氏を推薦した市民運動の時は、NHK内部で、勇気を持って意見を寄せる職員も出て、少し光明が見えた」と報告した。
 また前川氏をNHK会長に推薦する運動は、短期間で4万6千筆を超える賛同署名を集めるなど盛り上がりを見せ、NHKに大きなインパクトを与えた。26年1月の次期会長選に向け、「NHKとメディアを考える会」としても前回を上回る大きな運動を実現しようと準備に入っている。
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 もう一つの重要なテーマである「放送・通信独立委員会」方式に移行する問題については、砂川教授が「日本以外の先進各国や韓国、台湾でも、日本のように政府が放送免許を与える制度ではなく、表現の自由については極力政治が関与しないように、政府から独立した委員会が規制するシステムで進めるのが世界の流れで、日本は大きく遅れている」と現状の問題点を指摘。重ねて日本でも現行の放送制度を改革し「放送・通信独立委員会」実現を目指す取り組みを強めることが急務だと強調した。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年11月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | NHK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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