2025年01月07日

【支部リポート】香川 福田村事件の公演 「しゃべってはならぬ」讃岐弁=今岡重夫

                
新さぬき弁殺人事件チラシ.jpg

 高松市の劇団「マグダレーナ」が10月27日に高松市内で福田村事件をテーマにした作品の3作目『』新さぬき弁殺人事件(福田村事件)』(作・演出大西恵)を上演した。

 前回06年の『祭り囃子が聞こえたら』は「仲間9人が自警団に殺された、あの事件さえなければ」、15人は行商を終えて讃岐に戻るはずだったと悲しむ。
 そして、今回は事件の後、生き残った6人にスポットを当てた。「この事件は決してしゃべってはならない」とチラシは皮肉に訴える。
 映画「福田村事件」公開の20年前に、第1回公演(01年)で「事件」を知った中越恵美は俳優50年のキャリアで、「差別される者は殺されていいのか」「この無念を伝えるために、生きて、讃岐に帰る」と天空をにらんだ。映画「福田村事件」では方言サポートで応援した。

 公演会場のロビーには劇団40周年の足跡を示すポスターが並んでいた。大西恵が新聞コラムの「さぬき弁がハングルに間違われて、殺された」を見つけて、演劇根性の灯がついた。
「関東大震災」から101年、ことしも関東各地で朝鮮人虐殺犠牲者の追悼式典が行われた。昨年は映画化されて香川県内でも公開されたが、「知らなかった」という声があった。
 公演は「福田村事件」をもっと知り、偏見、人権、差別に対して「はて?」(朝ドラ「虎に翼」)と深掘りすることを求めている。マグダレーナは菊池寛作の朝鮮人虐殺問題に触れる「震災余震」を2023年に公演している。

 阪神大震災後、神戸市内の民家から出たとされる「東都大震災過眼録」(絵巻物・国立歴史民俗博物館蔵)を描いた日本画家の萱原白洞は香川県綾川町の出身である。そして、この作品が1938年、3日間だけ高松市内で公開された記録がある。反響はわかっていない。
 そして、03年、真相解明に取り組んだ人たちの手で、千葉県の旧福田村、利根川のほとりの寺の境内に、「関東大震災福田村事件犠牲者追悼慰霊碑」が建てられた。碑面の裏には「幽魂の墓」とあるが、流言蜚語を信じた自警団に殺された経緯やその責任は書かれていない。碑面にはまだ余白があり、「未完の碑だ」ともいわれている。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年12月25日号





posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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