2025年01月15日

【焦点】火力発電と原発に頼る日本経済は、競争力ダウンへ、再エネへの転換が必須=橋詰雅博

 大量の二酸化炭素(CO2)を排出する火力発電は、地球温暖化阻止のため脱炭素が不可欠な時代に逆走する電力だ。日本は発電の7割をこの火力発電に依存している。化石燃料の石炭、石油、天然ガスは輸入が大半で、その金額はなんと年間26兆円にものぼる。自動車や半導体製造装置などの輸出で稼いだ29兆のほとんどが失われているのだ。

 7次エネルギー基本計画案(エネ基)の策定過程で当初、所管の経済産業省は「脱炭素エネルギーを安定的に供給できるかが国力を大きく左右すると言っても過言ではない」という認識を示していた。
 ところが経産省が12月下旬に提示した2040年電源構成などからなるエネ基は、期待を完全に裏切るものだった。化石燃料を使う火力発電の比率目標は3〜4割程度にとどまっていた。40年度想定の発電コストは例えば天然ガスの火力発電の場合、1kWh当たり19・2円と太陽光(8・5円)など再生可能エネルギーや原発(12・5円〜)のそれよりも上回っている。

 また目標2割程度維持の原発は、既存の36基ほぼすべてが再稼働しなければ、目標クリアは難しい。実現が不確実な脱炭素の原発電源と高コストの火力発電の延命は、日本経済の競争力低下のリスクに直面する。

 脱炭素の最有力、再エネ電源の40年度目標は4〜5割程度だが、なぜもっと大幅に引き上げないのか。国際エネルギー機関(IEA)によれば、40年度太陽光発電コストは1kWh当たり、欧米では3・5セント、中国は3セント、インドでは2・5セント。陸上風力発電も3・5〜5・5セントの範囲だ。再エネコストは著しい低下が続く。

 自然エネルギー財団が公表した最新シナリオは、「日本には電力の90%以上を再エネで供給できる十分なポテンシャルがあり、電力価格も安定的な水準とすることが可能」としている。
 エネルギーコストの低減化は日本経済を大きく成長させる原動力になる。と同時に日本が世界に約束した2050年温暖化ガスの実質排出ゼロも達成できる。再エネこそエネルギー政策のメインにしなければ日本は取り残されるだろう。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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