2025年01月21日

【記者会見】「著作者人格権不行使」問題・区史編さん委員委嘱打ち切りめぐる争議解決 1月27日(月)11時から12時 文部科学記者会 JCJ賛同団体=橋詰雅博

2025年1月7日、世田谷区史編さんにおける「著作者人格権の不行使」問題・区史編さん委員委嘱打ち切りをめぐる争議が解決しました。締結した「確認書」において、世田谷区は、著作者人格権の尊重を確約。区は、公式サイトの「区史編さん」のページに、著作権に係る契約の参考モデルとして「区史編さん委員の著作者人格権と学術目的の利用に関する確認書」を掲載。出版ネッツは東京都労働委員会に対して不当労働行為救済の申し立てを取り下げました。
つきましては、会見を行いますので、ぜひ取材をお願いいたします。

■日時:2025年1月27日(月)11:00〜12:00
■場所:文部科学記者会
■発表:ユニオン出版ネットワーク(略称:出版ネッツ)
    世田谷区史のあり方について考える区民の会

【開催趣旨】
東京都世田谷区では区制90年を記念して、2016年から自治体史を編さんしています。日本中世史の研究者で、中世世田谷・吉良氏研究の第一人者である谷口雄太さん(青山学院大学准教授)は2016年、保坂区長から区史編さん委員を委嘱され、2017年から調査・研究を始めました。ところが執筆開始間際の2023年2月10日、区は「著作権譲渡および著作者人格権不行使への承諾」を迫りました。原稿の無断改変ができるようになることを危惧した谷口さんと出版ネッツは話し合いを求め、区は一度だけ応じたものの話し合いを打ち切り、3月末、谷口さんは委嘱を切られました。
そこで出版ネッツは2023年4月、東京都労働委員会に救済を申し立てました。2024年1月には「世田谷区史のあり方について考える区民の会」が発足。区史編さんに係る契約の見直し等を要望し、区長との話し合いを求めてきました。

 1年半にわたる都労委での調査が終了し、審問に入る直前の2024年9月、世田谷区と出版ネッツの和解交渉が始まりました。そして、12月23日合意が成立、本年1月7日に「確認書」を交わしました。主な合意内容(骨子)は、@区史編さん事業等における著作者人格権尊重の確約、A区による遺憾表明、B区は、谷口さんに2024年12月23日付で、中世史編さん委員の委嘱を申し出て、谷口さんはこれを受諾し、同日付で辞退、です。
今回の合意では「著作者人格権の尊重」が明記された点(@)に最大の意義があります。区が谷口さんに編さん委員の委嘱を申し出たこと(B)は遺憾表明(A)と共に、原状回復と谷口さんの名誉回復の意味を持ちます

著作者人格権は、著作者、とりわけ歴史研究者にとって尊厳や研究者生命にかかわる権利です。この解決を機に私たちは、全国の自治体に対し、自治体史誌等の編さんに際して著作者人格権と学問の自由を尊重することを求めます。さらに、行政機関と民間企業とを問わず、フリーランス等に仕事を依頼する際には、著作権法やフリーランス法に則った契約を結ぶことを求めます。
1月17日出版ネッツは、文化庁、公正取引委員会、総務省自治行政局に対し、上記の旨の要望書を送りました。今後も、著作者人格権の尊重について、広く社会に訴えていきます。

【報告内容】
1 本件の経緯、解決の背景と意義
2 当事者から本件解決に際しての訴え
3 区民の会のとりくみと見解

【出席者】
谷口雄太(本件当事者)
杉村和美、広浜綾子(出版ネッツ)
稲葉康生、上杉みすず(区民の会)

*これまでの報道記事
・世田谷区史の著作権は誰に? 執筆者と区、トラブル防止承諾書で争い(2023年2月28日)
https://www.asahi.com/articles/ASR2X2PCCR2WOXIE02K.html

・世田谷区史の著作権は誰のモノ? 区と執筆者が対立している理由とは(2023年3月8日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/235203

・“区史の編さんに著作者人格権を” 住民団体が世田谷区に要望(2024年2月27日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240227/k10014372311000.html

・区民グループ会見「契約書見直しを」 世田谷区史編さん問題(2024年2月28日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/311864


※記者会見参加ご希望のフリーランス記者は、1月22日までに、下記担当者までお知らせください。

【連絡先】
ユニオン出版ネットワーク(略称:出版ネッツ)
担当:杉村和美(080-6600-7457 sugimura09@gmail.com)
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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