2025年01月28日

【住民訴訟原告団】馬毛島新基地建設の概要と提訴への経緯=編集部

                          
                   
8面左ヨコ組写真@塚本プロフィール写真 トリミング.jpg
    
 概要   塚本和也弁護士
 馬毛島は、種子島の西、約10kmに位置する鹿児島県西之表市所在の無人島である。豊かな動植物がいて、漁業も「宝の島」と呼ばれるほど盛んであった。
 2000年頃から開発会社による違法な乱開発が繰り返され、2007年頃には、米軍が現在硫黄島で行っている陸上空母着陸訓練(FCLP)の移転先候補となった。2019年12月、日本政府は、開発会社が所有する島の土地を試算評価額の8倍にあたる約160億円で購入した。基地の規模はFCLP移転にとどまらず、事実上の空母も接岸できるほか、自衛隊によるオスプレイなどの訓練も予定されている。


経過 
 西之表市長は2022年9月議会に、反対派が最後の砦としていた、@馬毛島の3市道の廃止、いずれも市有地のA馬毛島小中学校跡地とB種子島の隊員宿舎用地を防衛省に売却する議案を突如追加提出し、1票差で可決された。防衛省は提案直後、可決前に米軍再編交付金の支給手続に入った。
 市民らは住民監査請求を行ったが、2度の不受理と却下がなされ、昨年9月の再提出についても棄却された。そのため、昨年12月、住民訴訟を提訴した=写真=。
8面左ヨコ組写真A馬毛島住民訴訟 提訴行進.jpeg

 違法事由は、裁量権の逸脱濫用、不適正な価格、随意契約、道路法違反などである。訴訟の名称の「どん」は鹿児島の方言で私という意味で、「どんたちの馬毛島」には、土地はもちろん、「基地のない、静かで平和な馬毛島」という意味も込めている。
 また、漁業者1人が原告となって漁業権に基づく差止訴訟も行っている。さらに、市民ら多数による人格権に基づく差止裁判も検討中だ。

             市長選・市議選2月2日投開票
 2021年の西之表市長選では反対派市長が僅差で再選したが、賛否議員数が同数となった市議会では、議決権がない議長に反対派が就き、賛成派多数で関連議案が可決される状況となった。
 種子島にはほかに中種子町、南種子町があり、米軍再編交付金など政府のゆさぶりで、西之表市長も賛否の明言を避け、事実上容認に転じた。
 西之表市長戦・市議選は2月2日投開票予定。市長選には基地反対連絡会の前会長で住民訴訟原告の三宅公人氏のほか、賛否を明言しない現職と賛成派5人も立候補を表明。米軍再編交付金に負けない政策作りが求められている。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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