2025年02月04日
【支部リポート・関西】悪ふざけのような万博 3月に山本理顕氏の講演会=幸田 泉
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに今年4月、大阪・関西万博が開幕する。半年間の想定来場者数は2820万人で、入場券の前売りは1400万枚が目標だ。しかし、昨年末時点で前売り券は約750万枚しか売れておらず、その8割は万博協会が企業に販売したもの。ウェブサイトからの一般の購入は47万枚しかなく、昨年10月から慌てて、コンビニで紙の前売り券の販売も始めたが、売れ行きは5000枚にとどまっている。
昨年、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した建築家の山本理顕氏=写真=は、今回の万博を「命をテーマとしながら、コンテンツに人間への尊厳が感じられない。壮大な悪ふざけのような万博」と批判する。会場の夢洲(大阪市此花区)は浚渫土砂などで埋め立てた湾岸の人工島。昨年3月には、工事現場でメタンガスの爆発事故が起きた。「いのち輝く」場所でガス爆発とはもはやブラックジョークだ。
前売り券の販売は低迷するが、資材や人件費の高騰で経費は膨らむ。会場建設費は当初の1250億円から2350億円に、運営費は809億円から1160億円に。運営費は8割を入場券収入でまかなう計画で、赤字になれば国、大阪府、大阪市の間で負担の押し付け合いが起こるだろう。
費用の膨張がいたしかたないのかには疑問符がつく。万博会場のシンボルである木造の「大屋根リング」(1周2キロ)に344億円の巨費を投じ、2億円のデザイナーズトイレという珍妙な高級トイレもある。山本氏は「万博の企画には多くの建築家がかかわりながら、専門家の役割を果たしていない」と嘆き、「こんなことになったのが誰の責任なのか分からない。これは全体主義国家のやり方だ」と恐ろしい指摘をする。
JCJ関西支部は3月29日(土)、山本理顕氏の講演会「大阪・関西万博と人間の尊厳」を開催する。「エル・おおさか」(大阪府立労働センター、大阪市中央区北浜東3−14)本館6階大会議室で、14時〜16時。資料代1000円。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年1月25日号
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