2025年02月11日

【月刊マスコミ評・新聞】予算案の真摯な審議のため監視を=山田 明

 2025年元日の全国紙社説タイトルは、朝日「不確実さ増す時代に政治を凝視し強い社会築く」、毎日「戦後80年混迷する世界と日本「人道第一」の秩序構築を」、読売「平和と民主主義を立て直す時協調の理念掲げ日本が先頭に」、日経「変革に挑み次世代に希望つなごう」。各紙の主張と特徴が社説に表れている。産経は論説委員長が年のはじめにで、「日本は数年内に、戦後初めて戦争を仕掛けられる恐れがある」と危機感を煽る。地方紙社説には沖縄2紙など示唆に富むものが多い。

 戦後80年の今年は、国内外とも波乱が予想される。トランプ米大統領は就任前から、世界に波紋を投げかけるが、日本の経済社会も揺るがすであろう。日米軍事一体化のもと、とりわけ日米安保のあり方が問われる。今年も参院選など選挙の年だ。
 昨年秋の衆院選で与党は過半数を割った。「少数与党」下の政治の歯車が、少しずつかみ合い出したように見える(朝日1月4日社説)。政府与党はこれまでのように、内輪で予算案や政策を固めて、国会審議で押し通すような一方的な運営は通用できなくなった。 

 だが、昨年末の今年度補正予算案は、わずか4日間の審議で一部修正のうえ、与党と日本維新の会、国民民主党の賛成で衆院を通過した。コロナ禍以降に繰り返される「規模ありき」の予算である。補正予算で注目されるのが、防衛費が過去最大となる8268億円計上されていることだ。能登地域の復旧・復興費の3倍近い規模である。

 防衛費は新年度予算案でも8.7兆円も計上され、予算面からも「軍事大国」化が急速に進んでいる。少数与党下で審議される当初予算案は、補正予算のように与党と国民民主などの一部野党が野合することが危惧される。予算案が政策論議をもとに真摯に審議されるよう、メディァの監視を期待したい。
 夢洲万博まで100日を切ったが、機運醸成どころか、国民の関心はむしろ低下気味だ。前売券の販売は見込みの半分程度だ。このままだと運営費の赤字は避けられない。災害リスクも懸念されている。メディアも「お祭り」騒ぎを煽るのでなく、万博の現実をシビアに伝えてほしい。 
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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