2025年03月13日

【支部リポート】福岡 障害ある人にも映画を 「みらいシネマ福岡」設立=白垣 詔男

 2021年度にJCJ賞を受賞した、植村隆さんの裁判を中心に描いた映画「標的」の監督・製作を務めた福岡支部会員・西嶋真司さんが、昨年末、「すべての人生に映画の感動を」と銘打って特定非営利活動法人「みらいシネマ福岡」を設立した。

 同法人の創立趣意書には「私たちが暮らす社会には様々な人々がいます。この社会は多数を占める健常者に都合のいいように造られてきました。視覚障がい者や聴覚障がい者にとって、映画館で映画の感動に接する機会は決して多くありません。…(この団体は)音声ガイドや字幕を利用して、障害がいがある人もない人も、すべての人が一緒に映画を楽しむ『ユニバーサル映画』を拡めるNPO法人です」とある。

 上映会では、映画監督や俳優、知識人らを招きトークショーも行う計画だという。同時手話通訳や音声認識によるトーク内容を表示して、誰もが製作者や出演者らの生の姿と話に接することができ、映画の感動が、より深いものになるようにすると意欲を見せる。会場は、今年はすべて、福岡市中央区の福岡市科学館のホール(300人収容)で、近く公式ホームページを開設して、参加予約ができるようにするという。

 既に、監督の森達也さんや是枝裕和さんには、これからの上映会への来場、スピーチをするよう依頼して快諾を得ているという。
 初企画は5月5日(月・祝)の「港に灯がともる」。阪神淡路大震災の翌日に生まれた在日3世の女性・灯をめぐるストーリー。
 その後、1〜2カ月に1回、映画会を予定している。既に8月16日(土)に計画している、第二次世界大戦末期、東京都品川区の保育士たちが幼い園児たちと集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を描いた「あの日のオルガン」上映会には、平松恵美子監督(山田洋次監督の下で助監督・脚本を担当、日本アカデミー賞優秀脚本賞を何度も受賞)と主演・大原櫻子さんの出演が決まっている。12月には、中村哲さんを描いた「荒野に希望の灯をともす」を、中村さんの命日・4日に合わせて追悼上映する予定だ。

 西嶋さんは「背景の違う様々な人々が映画を通して他者を知り、お互いを尊重する場が生まれる。思いやりや優しさにあふれた、開かれた社会の実現を、この団体を通じて目指したい」と意欲を話す。白垣詔男
          JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
 

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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