この3月、日本の放送は開始100年を迎える。この間を20年ごと、5つの区分で考えてみた。
第1期(1925年〜45年)
・社団法人 日本放送協会のラジオのみ。国家が「無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス」(旧無線電信法)と放送内容まで合法的に関与できた時代。それが大本営発表につながる。放送が国民を戦争に駆り立てた時代。
第2期(1946年〜65年)
・電波3法の施行(1950年)、電波監理委員会の廃止(1952年)・民放の誕生 NHK・民放併存体制の誕生・テレビの誕生(1953年)・皇太子ご成婚(1959年)・臨放調(臨時放送法制調査会)答申(1962〜1964年)NHKK・民放連とも独立行政委員会に賛成・東京オリンピック(1964年)・テレビ東京開局(1964年)⇒民放テレビ5系列化へ
第3期(1966年〜85年)
・テレビ広告が新聞広告を抜く(1975年)⇒テレビ全盛時代へ・民放テレビへの政権からの圧力で放送中止相次ぐ・1980年代「楽しくなければテレビじゃない」フジテレビの時代・ニューメディア時代・1987年NHKBS開始
第4期(1986年〜2005年)
・地上テレビ127社完成 テレビ朝日平成新局・テレビ広告費最大値2兆793億円(2000年。同年の新聞広告費1兆2474億円)・1993年CS放送開始/椿事件・2000年BSデジタル放送開始・2005年「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中平蔵総務大臣)・2003年東名阪地上デジタル
第5期(2006年〜25年)
・2006年全ての県庁所在地で地上デジタルスタート完了(2011年アナログ終了、2012年被災3県も終了)・2012年から2020年 第二次安倍政権 ⇒テレビへの攻撃・分断・2015年Tverスタート・2019年インターネット広告費がテレビ広告を抜く・2021年インターネット広告費がマス4媒体広告費を抜く
そして、100年目の今年早々フジテレビ騒動が起こった。日枝久氏が編成局長になったのが80年。以来、前述の第4期・第5期と40年を超える長老支配、そして女性軽視のメディアの“男社会”の弊害が赤裸々に2度の「記者会見」で明らかになった。
一般視聴者・購買者を背景とした広告主の引き上げは、「信なくば立たず」は政治のみならずメディア界にも当てはまることを如実に示した。
この4月からフジテレビの系列局に入社が決まっている、私のゼミ生(女性)から「こんな状態で系列局に入社して良いのか迷っている」との相談を受けた。
「この時期だからこそ、今までの男社会を変えようとするはず。入ってみてどう変わるか見てみたら。ピンチはチャンス」とアドバイスした。
メディアはどう変わるのか。フジテレビに限らない。この記事をお読みになっている方でも、今ならセクハラ、パワハラで大問題になる「不適切にもほどがある」経験をお持ちの方が数多いことを私は確信を持って言える。
大学だってかつては「ゼミ合宿で女子学生は浴衣着用マスト」と公言していた教員が民放テレビのコメンテーターをしていたが、それを是正してきた歴史を持つ。私の学部の3つの学科は、学科長が全て女性であり、良い意味で私は毎日勉強になることばかり教えてもらっている。男社会の弊害は「オールドボーイズ」には理解できないのだ。
100年を迎えた放送は、都知事選、総選挙、兵庫知事選といった選挙報道に続き、今回のフジテレビの問題で、メディアのあり方そのものまで問われるに至った。
アップデートを求められているのは放送だけでなく、メディアに関わる者全てだ。「どう自分ごととして考え、現実を変えていけるのか」が今改めて問われている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
2025年03月22日
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