2025年03月26日

【出版トピックス】オーディオブックへの強い期待=出版部会

◆2月出版物売上げ前年比92.7%
 2月期の売上げは、雑誌では「文藝春秋 3月号」や「小学一年生 4月号」、プロ野球の選手名鑑などが健闘したものの、すべてのジャンルで前年を下回った。
 書籍も前年を下回るが、総記・ビジネス書・学参は1月期に引き続き前年超えとなった。ビジネス書では『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』が、学参では英検・TOEICの関連書が好調。コミックは、「転生したらスライムだった件 28」「ワールドトリガー 28」など人気作品が売上を伸ばしたが、前年には及ばない結果となった。

◆オーディオブック点数2千突破
 小学館が制作・配信するオーディオブックの点数が、累計2000点を突破。2018年にオーディオブック事業を開始し、22年には「小学館 音声Project」を立ち上げて本格参入。文芸・新書・ライトノベル・児童書など幅広いジャンルを展開している。
「本屋大賞2025」の候補となった3点もオーディオブック化。早見和真『アルプス席の母』はすでに配信し、一穂ミチ『恋とか愛とかやさしさなら』と朝井リョウ『生殖記』は現在制作中。話題作も網羅していく。
 オーディオブックの普及は、視覚・読字障害者への救済に役立つだけでなく、普通の人々にとっても、すきま時間を学習や娯楽に充てられるので、ニーズは急増している。今やオーディオブックの市場規模は260億円(2024年度)に達する。

◆護憲の「マガジン9」創刊20周年
 「マガジン9」の前身の「マガジン9条」がネット上に誕生したのが、2005年3月1日。憲法9条や護憲の啓蒙運動を主旨とするウェブマガジン「マガジン9条」発足。
 発起人は石坂啓(漫画家)、上原公子(前国立市長)、小山内美江子(脚本家)、姜尚中(東京大学教授)、きむらゆういち(絵本作家)、小室等(ミュージシャン)、斎藤駿(カタログハウス相談役)、佐高信(評論家)、椎名誠(作家)、毛利子来(小児科医)、森永卓郎(経済アナリスト)、吉岡忍(ノンフィクション作家)、渡辺一枝(作家)。
 「護憲の旗」だけはきちんと掲げようと、「マガジン9条」と名づけた。世の中の流れに歯向かう小さな抵抗の拠点として、言わずにはいられないことを言う場。このプラットフォームを潰したくないの思いで続けてきた。5月31日、「マガジン9」の「創刊20周年記念イベント」を開催する予定(詳細は追って告知)。

◆「情プラ法」第三者削除要請が問題
 総務省は、SNS上での誹謗中傷への対応を迅速化する「情報流通プラットフォーム対処法」(情プラ法)を一部改正し、4月1日に施行すると閣議決定。月間平均アクティブユーザー数が1000万を超える事業者は、ガイドラインに沿って具体的な投稿の削除基準を「できる限り具体的に」決めて公表し、削除要請を受けた日から「7日以内」に対応を決める。しかし第三者からの削除要請も受け付けるという内容が問題となっている。

◆東野圭吾『少年とクスノキ』刊行
 実業之日本社から東野圭吾『少年とクスノキ』(本体1800円)が5月1日、刊行される。昨年5月に刊行し、20万部のベストセラーとなった、前作『クスノキの女神』の作中に登場していた少年の願いを、東野氏が新たな1つの物語として仕上げた。絵は画家としても活動する、よしだるみ氏が担当。この初の子ども向け絵本について、今年、作家生活40周年を迎える東野氏は「主人公はあなたかもしれません。楽しんでいただけたら幸いです」とのコメントを寄せている。
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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