2025年04月12日

【報告】被団協ノーベル平和賞受賞式 証言の重み伝える責任 取材記者囲み報告集会=田中伸武(広島支部)

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            参加者が核・平和報道のあり方を意見交換した。
 JCJ広島支部は2月24日、広島市内で「ノーベル平和賞 現地取材記者による報告―これからのヒロシマ報道を考える」と題した集会を開いた。日本被団協の授賞式(12月10日・オスロ)に同行した広島の若手新聞・放送記者ら4人が「現地行事を追いながら田中熙巳代表委員のスピーチの重みや報じる責任をかみしめた」などと語った。マスコミ関係者や高校新聞部員を含む約40人が参加。核・平和報道の在り方をめぐっても意見交換し、交流を深めた。

将来へ報道工夫

 毎日新聞の安徳祐記者は入社3年目。学生時代に被爆証言を聞いて広島赴任を希望した。
「被団協受賞を知らない人が多かったオスロ市民だが、ロシアと接する国柄か核戦争を身近に感じていた」と国際情勢を実感。「(被爆)証言の力は大きい。今後被爆者がいなくなる世界で報道をどう工夫するかを考える」と話した。

歴史伝える重み
 
 下高充生記者は中国新聞で、被団協の歴史を振り返る連載も担当した30歳。被団協事務局長の木戸季市さんの言葉「核から人間を守る」が印象に残ると語った。
「公式記録がない過去の出来事は当時の新聞記事が頼り。自分の書く記事も将来、審判を受ける」と報道の重みを改めて自覚したという。

若者動かす契機

 広島テレビの竹内嘉菜記者は入社3年目。「被爆者が運動に挑む姿と、そこから高校生らが感じたことを意識した」と、授賞式1カ月前からの取材について語った。
「被爆者がいなくなる将来、若者の関心が世界を左右する。若者が平和運動などに一歩踏み出すきっかけとなる番組を作りたい」と表明した。

マスコミの責任

 被団協メンバーがオスロで議員朝食会や市民交流会などに参加した3日間を撮影し、ネット発信した中奥岳生さん(広島YMCA)も「ノーモアを叫ぶデモ行進に市民が次々加わった」と特別報告。「国家が戦争受忍を国民に押しつけるのはおかしい。マスコミは問うべきだ」と訴えた。

平和発信の変化

 フロア質疑では、崇徳高新聞部員の指摘を基に新聞テレビを見ずSNS浸りの層への伝え方を議論し、ミャンマー留学生の発言からロシアを含めた国際的な核情勢を話し合った。
広島の戦争加害の側面や、広島と長崎の平和発信の違い、近年の平和教育の変化などさまざまな意見が出た。会場の被爆者からは、被爆80年をにらみノーベル委員会が贈賞した意味が強調された。
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
         

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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