攻撃を未然に防止するという触れ込みの「能動的サイバー防御」法案は今国会で成立する見込み。水道・電気・ガスなどのインフラ施設を始め銀行、病院など国民生活に密接なものへのサイバー攻撃防止のためと政府は説明する。しかし、通信の秘密を保障する憲法21条と武力による威嚇又は武力行使を禁止した憲法9条に違反する恐れがある法律だと指摘されている。
どういう風に危険なのかわかりづらかったが、4月19日付新婦人しんぶんで宇部雄介弁護士が平易に解説していたので紹介する。
このサイバー法案は<政府が誰と誰がメールをやりとりしているのかといったことを監視することができるようになりますし、中身まで見られてしまうかもしれません>
したがって通信の秘密やプライバシーを侵害するものだというのだ。監視対象を外国経由の通信情報に限るとしているが、先行き国内も含めることもあり得る。
さらに警察や自衛隊が国外のコンピューターシステムに侵入し「無害化=プログラムの停止・削除」が可能になる。<これは日本が外国にサイバー攻撃をするということで、相手国との関係では、主権侵害となりかねないものです。のみならず先制的な武力行使と受け止められる可能性があります。憲法9条に反する「サイバー先制攻撃」というべき危険な法案です>
法案の真の狙いは<米軍と一体化した戦争準備>と宇部弁護士はいう。その理由はこうだ。
2022年1月の日米安全保障協議委員会(2+2)でサイバー脅威への共同対処が日米同盟では必須とされた。同年12月に閣議決定された軍拡、敵基地攻撃能力の保有などからなる安保3文書のうち国家安全保障戦略では「能動的サイバー防御を導入する」としている。24年7月の2+2では脅威に対処する防御的サーバー作戦における緊密な協力を促進するとした。こうした積み重ねの結果、日米が一体となった軍事強化を図り戦争に備える
成立するサイバー法案の裏にはこうした重大な「事実」が表に出てきていない。
2025年04月21日
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