2025年04月23日

【焦点】24年死刑執行15カ国で過去最低―アムネスティ発表 国連の廃止に応じない日本は死刑存続の数少ない国=橋詰雅博 

 国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは、2024年の世界の死刑状況を発表した。24年は15カ国で1,500人以上が処刑され、15年以降、最多の死刑執行数となった。増加は、イラン、イラク、サウジアラビアで急増したことによるもので、この3カ国だけで1,380件に上る。
 中東では、死刑判決が人権擁護者、反体制派、抗議者、政敵、少数民族の声を封じる方法として用いられており、特にイランとサウジアラビアではその傾向が顕著。また死刑執行の40%以上は、薬物関連犯罪だ。死刑が麻薬取引の減少につながるかどうか立証されていないにも関わらず、薬物関連の処刑は中国、イラン、サウジアラビア、シンガポールで広く行われている。

 死刑執行数が増加した一方で、死刑を執行した国はわずか15カ国。これは2年連続で過去最低だった。現在、113カ国が死刑を全廃しており、法律上または事実上死刑を廃止している国は合わせて145カ国に上る。
 24年にはジンバブエで通常の犯罪に対する死刑を廃止する法案が成立。マレーシアでは死刑制度改革により、死刑を宣告されていた1,000人以上が減刑されるなど「世界は死刑廃止に向けて確実に歩みを進めています」とアムネスティは話す。
 国連は「死刑の廃止が人間の尊厳の高揚と人権の漸進的な発展に貢献することを信じ」「すべての死刑廃止措置は生命権の享有の上で発展とみなされるべきことを確信」するとして死刑廃止を宣言している。
 
 国連の求めに応じず世界の流れに逆行する死刑存続の日本は、この25年間で100人弱が死刑になった。世論はどう受け止めているのか。
 24年の世論調査では8割が死刑制度を支持していると政府は説明する。ただし、調査結果の分析では将来的な死刑廃止を容認している人の割合は全体の45.1%と「将来も死刑を廃止しない」の53.4%に迫る。「国民の8割が死刑制度を支持」が一人歩きし、死刑制度存続の根拠として用いられている。政府は希薄な根拠を盾に制度を継続させている。いつものパターンだ。
 日本弁護士連合会は死刑執行の停止を求めたうえで廃止への社会的な論議を呼びかけている。


 
 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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