2025年04月28日

【焦点・反ユダヤ規制2】1・0トランプ政権ではパレスチナを切り捨てた=橋詰雅博

 それでは2017年〜21年の第1次トランプ政権の時はどうだったのか。やはり福音派の意向に沿い政策を実行した。つまりパレスチナ切り捨てだった。
安保理決議を覆す

 そもそもイスラエルのパレスチナ国家占領に対し、米政府は基本的に1967年の安保理決議242号(占領地からの撤退勧告)支持する姿勢を維持していてきたが、トランプ政権はこれを覆した。占領承認と難民保護政策からの撤退へと舵を切り替えた。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を脱退し、難民支援から手を引いてしまった。

矢継早の政策転換

 中東研究者の平井文子氏は4年間に行われたトランプによる矢継ぎ早の政策転換を以下のようにまとめた。
・2017/12/6 イスラエルによるエルサレム首都宣言支持
・2018/1/16 UNRWAへの拠出金凍結。それまで米はUNRWAの予算の3割支援。2017年総額12億4000万ドルのうち、3億6000万を。他の支援国は、EU、サウジ、独、英、日(4000万ドル第7位)。UNRWA支援下に、パレスチナには700の学校、140の診療所がある。UNRWAは難民にとって命綱だった
・2018/5/14 米大使館テルアビブからエルサレムに移転
  7/19 イスラエル国会、「ユダヤ人国家法」採択
  8/31 米、UNRWA脱退
9/10 ワシントンのパレスチナ自治政府代表部閉鎖
・2019/3シリア領であるゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認
・2019/11/18 マイク・ポンペオ国務長官が、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は国際法に違反していないとの見解を示した
・2020/1/28 中東和平案(「世紀のディール」)発表:イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正当な領土であると認める。
・2020/8/13アブラハム合意発表(アメリカを仲介としたイスラエルとアラブ首長国連邦との和平合意、続いてバーレーンを皮切りとして,その後スーダンやモロッコがこれに倣って陸続としてイスラエルとの関係正常化に踏み出した)

聖書の予言実現か

 平井氏は「米キリスト教福音派は現代イスラエル国家の創設と数百万のユダヤ人のイスラエル集住を、イエスの復活が間近であるという聖書の預言の実現とみている。アメリカにおけるキリスト教シオニズム(ユダヤ人が祖先の地とみなすパレスチナをユダヤ国家として建設しようという運動)は今や白人福音派の間では『多数派神学』となっている。キリスト教シオニストの票は数千万にものぼり、大統領選挙にとって大きな票田となっている」と分析する。
 2期目のトランプは、1期目以上に福音派の考えを受け入れ政策に取り入れている。

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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