毎年、締め切り近くの5月になると、JCJ事務局の部屋に、JCJ賞応募作品が、どさっと積みあがる。選考委員会には、候補作品に価すると判断した作品を絞って、提案する。その絞り込み作業は、推薦委員を中心に、何人かで下読みし回覧し議論する。昨2024年の新聞メディアでの議論は簡単だった。
「大賞は赤旗スクープの裏金。これだけ政治を動かした報道は、田中金脈以来か…」と、議論は一致して、選考委委員会に推薦した。
連載をまとめ大幅加筆した本書によると、取材の端緒は2021年12月、自民党議員の政治資金パーティを取材した記者の「あんなの全然パーティじゃない。席に座って挨拶を聞いてお開き。飲食どころか水も出ない。…あれで会費2万円はボッタクリ」という「違和感」だったという。
それから3年余。問題は今国会まで続き、その後の参院予算委では、世耕弘成・前参院幹事長の参考人証言が迫る。東京都議会でも政治資金パーティの報告書不記載が問題になっている。石破首相の新人議員への10万円商品券も問題となり、内閣官房機密費からの支出まで疑われる始末。
自民党政治の本質は「カネ」で国の「政策」を支配し、同じ構図が地方にも浸透しているという明瞭な事実だ。
企業や業界団体の意向が、自然と国土を壊す開発や、軍備拡大、海外進出の産業政策につながり、結局、日本の政治が歪められていく。
本書は、こうした「政治とカネ」がもたらす歪みを暴いた、貴重な「一里塚」だ。続編を期待したい。(新日本出版社1400円)
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